生活設計と家計管理
木村 怜 (きむら れい)
ジェロントロジーとは
どのように年をとるかということである。つまりどのように生きるか…と私は認識する。
人の生涯は健康、経済、心の3本柱のバランスを保ちながらそしてケアしながら生涯を終えたいと誰しも考える。健康、経済、心、これは基本の3本柱だ。頭文字をとって3Kと名付ける。私はこれにあえて、ISを加える。社会性である。個が弧にならないためにも家族、地域、社会のつながりの中で人間関係を保っていくことが大切である。
その中でも経済の裏付けが重要課題であると思う。今回、その重要性から家庭経済(生活設計と家計管理)に焦点をあてる。
家を建築するには設計図が必要である。同じ様に人生にも設計図が必要だ。健康と経済はその土台であり、しっかりした土台の上に家が建つ。この土地となるものが土壌であり、それがその人の価値観である、と私は思う。従って人それぞれの価値観という土壌の基に各人の個性ある家が建つ。
日本の人口構成、長寿社会、社会構造の変革を踏まえ、シニアの生活設計の基本は自助自立の生活を目指す、また、そうせざるをえない背景を背負っている。そこで老後の経済設計は収入の生涯適正配分、どう暮らせたかという実現可能な夢の設計、健康に生きるための予算化である。これが大まかな第一STEPである。
次に具体的に見る。
まず気になるのは、全体でどのくらいかかるかだ。平均的数字(便宜上)で見る。1997年総務庁の家計調査では高齢夫婦世帯の消費支出は257,788円/月である。幾分のゆとりを加えても360万円/年となる。これをベースに60才以降約20年の生活必要額の総計は約7,200万となる。このうち、国民生活基礎調査によると公的年金で55.5%まかなえる。これが平均的数字である。しかし、基礎年金のみの世帯もあり、そうそう甘くはない、というのが現実である。
しかしこの目安の数字はシニアの人々が考慮に入れておくべきものとして決して無用の目安ではない。個人の生涯収入を目録みこの目安値から離れて生ずる不足分は各自の方法で補っていくことを考えるのもシニアの設計の課題である。
次に家計管理である。
まず総資産のプラス・マイナスの総点検が必要であり、プラス財産をどう運用するかが次のSTEPとなる。
シニアの資産運用として重要な原則は安全性である。金融政策の規制緩和という時代背景を基に多種多様な商品が販売されている。自己の生活設計に合わせて、中立、公正な客観性を持つファイナンシャルプランナーの資格をもつ専門家に相談すると良い。しかし自己責任の原則は従来に増して求められていることを自覚したい。今後は財産三分法から脱却し五分法を考えるべきであろう。
リスクへの対応
要介護、病気など加齢と共にこの危険度は増す。自分の命を守る本能、残される遺族を守る本能がある。これへの対応は保険である。しかし必要以上に加入する必要はない。
シニア期に必要となる資金項目は大まかに次の様になる。
1. 老後生活資金
2. 医療・介護資金
3. 緊急予備資金、相続対策資金
4. 損害保険
以上を概算し、その内どれをどの位保険で補うかを整理する。
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