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2022.01.12 更新

将来の後見を誰に頼むか?

ご夫婦の場合、妻に頼もうとする夫は多いのですが、夫に頼もうとする妻はあまりいません。平均寿命を引き合いに「だって、夫の方が先に居なくなるでしょ」とおっしゃる妻はたくさんいます。

「息子がいい」と思う人は多いのですが、息子さんが二人いる場合、どちらかにするか、両人に頼むかで悩む方が多く、息子さん同士でも、どちらが親の任意後見人になるかで小競り合いが生じることもしばしばあります。娘さんでも同じことが起きるようです。

そのようなことから「お金のことは子供達には頼まない、その方が喧嘩にならなくて良いから」と、家族以外の人に頼む方もいらっしゃいます。ただ、いざ、任意後見を使う段になって、親御さんが他人にお金のことを頼んでいたことを知ってショックを受けるお子さんも多く、その矛先は、親御さんへはもちろん、親御さんから頼まれた弁護士さんなどへ向かうこともしばしばあり、「母をそそのかしたんでしょ?」という言葉になるのです。なるほど後見が相続の前哨戦と言われるわけです。

お子さんがいない場合、友人や甥姪に頼む方も少なくありません。本業に加え後見もやっている弁護士、司法書士、行政書士などに頼む人もいます。資格や人により金額や内容もまちまちなのでしっかり見比べるとよいでしょう。

最近では、後見を行うNPO法人もあります。2021年11月現在、後見に関係するNPO法人は378法人あります。ボランティアの延長線上で後見を行うNPO法人もあれば、弁護士さん等が運営するNPO法人もありますので、NPO法人に任意後見を頼む場合も、いくつか比較してみるとよいでしょう。

法律上、後見人になれない、つまり、この人には頼めないという条件が5つあるので紹介します。

  1. 未成年者
  2. 家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
  3. 自己破産して復権していない人
  4. 行方の知れない者
  5. 本人に対して訴訟をした人、及びその配偶者と直系血族

それぞれの理屈は以下のように考えるとよいでしょう。

  1. 未成年者 ─→ 大人のお金の管理を未成年者に頼んではいけない
  2. 家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
     ─→ 解任された経験を持つ人は後見人としてもはや信用できない
  3. 自己破産して復権していない人
     ─→ 自分の財産を管理できない人が他人の財産を管理できない
  4. 行方の知れない者
     ─→ 居場所がわからない人に大事なことは頼めない
  5. 本人に対して訴訟をした人、及びその配偶者と直系血族
     ─→ 喧嘩している人にお金のことは頼めないでしょう

1人ではなく2名(以上)に後見を頼むことも可能です。これを「複数後見」といいますが、以下の3つのタイプがあります。

  • 分掌型……Aさんは財産管理だけ、Bさんは医療介護だけ、というように仕事を分けて頼むパターン
  • 協働型……AさんとBさんの意見が合致した場合に限って、AさんとBさんで後見の仕事をするパターン
  • 独立型……Aさんも全部、Bさんも全部、それぞれ依頼者のために仕事ができるパターン

どのパターンが良いか、よく考え、自分の気に入った人に、気に入ったパターンで任意後見を頼むとよいでしょう。