2022.03.13 更新

長女にせかされ、よくわからないまま、長女と任意後見契約を結んだお母さん(80代)がいました。

「任意後見というのをやった」と次女に話したところ、「お母さん、それ、辞めた方がいいんじゃない」と言われたそうです。

次女はお母さんに「お母さんがぼけたら、お姉ちゃんが、お母さんのお金、好きなように使えるようになるんだよ」と言ったようですが、そんなことはありません。そのようなことがないよう、任意後見人を見張る任意後見監督人がつくからです。

しかし、一度結んだ任意後見契約を辞めたいと思ったら、その解除は簡単です。

まず、頼んだ方と頼まれた方の合意で解除する方法があります。

次に、頼んだ方か、頼まれた方の、どちらか一方が、辞めたいと思えば、辞められる方法もあります。

いずれにせよ、公証人に「辞めたい」「辞める」ということを伝えないといけません。
公正証書で作ったものは公正証書で無しにするというわけです。


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資料5は、先の例で、合意ではなく、お母さんによる一方的解除の実例です。
中身を見てみましょう。

タイトルは「認証書」となります。

嘱託人(お母さんの氏名)は、本公証人の面前で、別紙証書に署名押印した。
よって、これを認証する。

本文はこれだけです。

別紙証書のタイトルは「通知書」です。

当方は、貴殿との間で、(省略)、委任契約と任意後見契約を締結しましたが、
本日、公証人の認証を得たこの書面によりいずれの契約も解除致します。

本文は以上で、日付と、委任者(お母さん)の住所・氏名、受任者(長女)の住所・氏名、の記載があります。

この公正証書の費用は5千円(税別)です。

任意後見を頼んだ人に、これを見せても、郵送してもよいですし、しなくても結構です。

ただ、公証人の認証を、東京法務局後見登録課へ、持参するか郵送しないと、社会的には、任意後見契約は終わりません。お近くの法務局へ持参しても郵送してもダメです。後見の登記は、東京法務局後見登録課が一元管理しているからです。

東京法務局民事行政部後見登録課
〒102-8226 東京都千代田区九段南1−1−15 (九段第二合同庁舎)4階
TEL : 03−5213−1360

一度解除しても、また、同じ人、あるいは、別の人と、同じ内容、または少し異なる内容で、任意後見契約をすることは可能です。

なお、解除ではなく、内容を変更したい場合は、頼んだ人と頼まれた人で、公証人を訪ね、公正証書で内容を変更しなければいけません。例えば、盛り込んでいなかった仕事を盛り込みたいと、仕事の内容を増やす場合もあるでしょう。逆に、例えば不動産のことを頼むのを辞めたくなった(頼まれるのを辞めたくなった)と言うことであれば、不動産に関する内容だけを削除してもらいます。

報酬を無料にしていたけれど、やはり月3万円払うことにしたくなったら、そのように変更することも可能です。また、5万円だった報酬を2万円に減額することもできます。

3か月ごとに任意後見監督人へ報告するのは大変だから、6か月ごとに変えてほしいとかもあるでしょう。

とにかく、自分たちで自由に作るのが任意後見なのですから、納得のいく内容を、ご自分で創り上げ、いやになったら自由に辞めることをお勧めします。