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2022.03.15 更新

成年後見制度を始める際に重要なのは、病名などの医学的情報ではなく、日々の生活のなかで、お金や契約に関する本人の能力があるかないかを見極めることです。

そこで、定期的に本人を見ているケアマネジャーさんは本人をどう見ているかという情報があった方が、家庭裁判所でより正確な判断ができるということで、数年前から新設されたのが「本人情報シート(成年後見制度用)」です。しかし、診断書に比べて、手続きに必須の資料ではないので、このシートはなくても大丈夫です。

資料7が本人情報シートの現物(ひな形)です。

以下の六項目で構成されています。
1 本人の生活場所について
2 福祉に関する認定の有無等について
3 本人の日常・社会生活の状況について
4 本人にとって重要な意思決定が必要となる日常・社会生活上の課題
5 家庭裁判所に成年後見制度の利用について申立てをすることに関する本人の認識
6 本人にとって望ましいと考えられる日常・社会生活上の課題への対応策


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最も大切なのは、3の(6)金銭の管理について、です。
チェック項目として以下の三つがあります。
□ 本人が管理している
□ 親族又は第三者の支援を受けて本人が管理している
□ 親族又は第三者が管理している
本人が管理できているのであれば後見は不要でしょう。
二番目でも頼む能力があるのだから後見は不要といえるでしょう。
本人の関与が不明ですが、一番下であれば後見の必要性が高まると言えます。

次に大切なのが
5 家庭裁判所に成年後見制度の利用について申立てをすることに関する本人の認識として、以下の四種類が用意されています。
□ 申立てをすることを説明しており,知っている。
□ 申立てをすることを説明したが,理解できていない。
□ 申立てをすることを説明しておらず,知らない。
□ その他
一番目の、説明をして、知っているなら、後見は不要と考えられます。
二番目の、説明したが、理解できていないなら、後見を始めてもよいかもしれません。
三番目は好ましくありません。本人に内緒で、本人に後見を被せることになるからです。

最後に、3の(5)日常の意思決定について、も重要な項目です。日常の意思決定が
□ できる
□ 特別な場合を除いてできる
□ 日常的に困難
□ できない
という項目ですが、この日常の意思決定の中身が問題です。例えば、お風呂に入りたいとか、トイレに行きたいとか、食事を食べたくない、というようなことは成年後見には関係ない項目だからです。

この「本人情報シート」では、買い物や介護サービスの内容への注文、加入している民間の医療保険や介護保険の請求、外出や旅行に行きたがっているなどの内容が具体的に書かれると、本人を知らない家庭裁判所も、本人のお金周りの様子がわかって、後見の手続きがスムーズに進むと思いますので、ケアマネジャーさんにそのように伝えるのもよいかもしれません。