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2022.03.21 更新

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資料10は家庭裁判所に提出する「財産目録」です。
後見を頼んだ人の財産の棚卸です。

1 預貯金・現金
ここには預貯金の口座情報を書きます。普通預貯金も定期預貯金も持っている口座をすべて書きます。
預貯金の口座通帳表紙と家庭裁判所に提出する時点での最後のページのコピーも添付します。
そこまでやるのかと、ちょっと抵抗があるかもしれません。

2 有価証券等
株式、投資信託、国債、社債、外貨預金、手形、小切手などを書きます。

3 生命保険、損害保険等
本人が契約者あるいは受取人になっている生命保険や医療・介護保険、損害保険等を書きます。

4 不動産(土地)
本人名義(部分)の土地を書きます。自宅、賃貸用のアパート、会社、駐車場、畑、その他を書きます。

5 不動産(建物)
本人名義(部分)の建物を書きます。

6 債権
誰かに貸しているお金、会社に貸しているお金、その他、返してもらったりこれからもらうべきお金について書きます。

7 その他
自動車、金地金、つぼ、掛け軸、その他を書きます。

8 負債
借金や返すべきお金を書きます。

9 遺産分割未了の相続財産
本人がもらうべき金額を書きます。法定相続分かもしれないし、遺言により法定相続分より多くなったり少なくなったりするでしょう。


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資料11は「収支予定表」です。
後見を頼んだ人の収入と支出を書きます。

1 本人の定期的な収入
年金収入、家賃収入、その他を書きます。
それらがどの口座に振り込まれるかも、先の財産目録の預貯金口座と連動させます。

2 本人の定期的な支出
食費などの生活費、医療や介護などの療養費、家賃などの住居費、税金、保険料、その他として負債の返済、お小遣い、趣味の費用などを書きます。

お金の流れを見ると生活の様子がわかります。認知症が重くなってからのお金の流れや実際の金額を調べるには、後見制度の収支予定表に勝るものはないでしょう。

以上の「財産目録」と「収支予定表」を出す理由は、後見人として、どの財産を管理、使用するかを申請するためです。また、後見を開始するときに選任される監督人の報酬を決めるためです。財産や収入が多いと監督人の報酬も上がります。高額なほど弁護士が監督人となり、そうでなければ司法書士が監督人になるのが運用の実態です。

すると、少なく書いた方が、監督人に支払われる報酬が少なくなると思うでしょう。
その通りですが、基本的に帳簿にない財産に関する代理権は行使できないことになっているので、素直に書いて出しておいた方がよいでしょう。

この時点で、任意後見をスタートさせるのを辞める人は少なからずいます。どこに、何がいくらあるかとか、何にいくら使っているかなどを明らかにしないといけないからです。自分の生活を赤裸々にされて、なんとなく嫌になってくるのでしょう。お気持ちはわかります。