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2022.03.26 更新

家庭裁判所に、任意後見契約を始めるために必要な資料を持参、もしくは送付したら、申し立てを受けた家庭裁判所とのやり取りになります。

家庭裁判所で担当するのは書記官か調査官です。裁判官に会うことはほとんどないでしょう。

成年後見制度の場合、裁判官(正確には審判官)、書記官、調査官がチームになって仕事をします。人手不足の裁判所では、補助的に、参与員(民間登用)も仕事に関与します。

まず、提出資料に不備や不明点があれば、申立人に電話で、場合によっては書面で照会があるでしょう。その場合、素直に回答すれば大丈夫です。

次に、後見を頼んだ人に関する医学的「鑑定」です。

家庭裁判所から、「あなたの方で鑑定してくれる医師を頼めますか?」
もしくは「こちらから鑑定する医師を派遣します」のいずれかを言われるでしょう。

鑑定費用はおよそ10万円です。
鑑定費用は申立人が立替え、後見が決まったら後見される人から返してもらうのが一般的です。

鑑定期間は、1日の場合もあれば2〜3か月観察する場合もあります。

鑑定の内容は、
 ・ どこで生まれ、どのような人生を送って来たか
 ・ 現在の生活状況や金銭管理はどうなっているか
 ・ 医学的に見た病気の種類や今後の展望
 ・ 自分の財産を管理する能力がどの程度あるか
などになります。

鑑定の時間は90分前後が一般的です。

鑑定結果は、鑑定医から家庭裁判所に直接送られることが多く、中身を見たい場合は、鑑定書を書いた医師からコピーをもらうか、裁判所に「医師から出された鑑定書を見たい、コピーしたい」と伝え、「閲覧謄写請求」をすることになります。

鑑定の正確を期すため、鑑定には家族が同席するのが良いでしょう。
この点を医師と家庭裁判所に求めてみて下さい。たいていはOKが出ると思います。

鑑定がなくても、調査官による「調査」は必ずあります。
調査をしないと後見を始めることはできない、という法律があるからです。

調査の方法はほとんどが面接です。家庭裁判所で行うか、後見を頼んだ人の自宅やいまいるところへ調査官が来てくれます。

たまに書面での調査がありますが、その場合は、書面に回答するか、面接を希望すると回答すれば結構です。

面接は、後見を頼んだ人に対する面接、後見を頼まれた人に対する面接となります。

後見を頼んだ人に対する面接調査のポイントは、後見を始めなければならないほど判断能力が不十分なのか、の確認です。
質疑がスムーズにいかなければ後見が始まり、質疑がスムーズにいけば後見は始まらないでしょう。

後見を頼まれた人に対する面接のポイントは、頼まれた人がちゃんと後見人の仕事をできるかどうかのチェックです。
 ・ 本人の財産をどうするか
 ・ 本人の医療や介護の手配をどうするか
 ・ 監督人や家庭裁判所に対するレポートをきちんと書けそうか
 ・ 本人とうまくやれそうか
 ・ この人は後見の仕事ができるほどに健康か
 ・ 本人の家族との関係は良好か
などを聞かれますが、いずれも普通に回答すれば結構です。