補助類型は、介護保険制度に例えるなら要支援1〜要介護3くらいだと思います。
保佐を要介護2〜要介護4としたので、保佐と補助は重複する部分(例えるなら要介護2や3)があることになります。
それだけ、保佐か補助かの見極めは判然としません。なぜなら、両者には明確な基準がないからです。
補助の定義は、民法第15条を踏まえると、「精神上の障害により、事理を弁識する能力が、不十分である者」となります。
“精神上の障害”とは、後見や保佐同様、認知症やうつ病、知的障害があることを指します。
“事理を弁識する能力”というのは、後見や保佐同様、お金が絡むことに関する損得勘定ができるか、ということです。
ややこしいのは、その能力が“不十分である”という表現です。
保佐の場合は“著しく不十分である”となっているので、損得勘定の不十分さが著しければ保佐、著しくなければ補助ということになりますが、“不十分”とはどういうことなのか、という疑問が生じます。
この点、さいたま家庭裁判所は、補助を「支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することが難しい場合がある。」と表現しています。より具体的には「重要な財産行為(不動産,自動車の売買や自宅の増改築,金銭の貸し借り等)について自分でできるかもしれないが,本人のためには誰かに代わってやってもらった方がよいという程度 」と表現しています。
「日常的に必要な買い物程度は単独でできる」が保佐だったので、それを加味すると、「日常的に必要な買い物程度は単独でできる。しかし、不動産,自動車の売買や自宅の増改築,金銭の貸し借り等について、自分でできるかもしれないが、本人のためには誰かに代わってやってもらった方がよいという程度」となります。これで少し、補助がイメージできたでしょうか?
補助の定義にこだわったのは、保佐と補助では、実務上、大きな差があるからです。
補助を始めようとする場合、被補助人になる予定の人が、成年後見制度の補助類型を利用することについて同意しないと、家庭裁判所で補助を開始する手続きを取ることができませんが、保佐の場合は、本人の同意がなくても、家庭裁判所で開始の手続きを取ることができてしまうのです。
これは、後見類型も同様で、「私の知らない間に、後見の手続きが取られていた」とか、「保佐の手続きが取られていた」ということがあります。補助の場合は、本人の同意がないと申し立てができないので、「知らない間に補助の手続きが取られていた」ということはありません。
「本人が、わかって使う」という意味では、自分で契約する任意後見と、自分で同意して家庭裁判所に持ち込む補助類型で一つのグループ。本人の同意なく手続きできてしまう保佐類型と後見類型でもう一つのグループ、というように二分できます。
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