2022.12.30 更新

この人に、後見人(保佐人、補助人)をつけてほしいと家庭裁判所に申し立てできるのは、本人、配偶者、4親等以内の親族、自治体です。


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その誰かが申し立てをすると、家庭裁判所は、親族の意見を聴くことがあります。
その目的は、後見等が要らないという意見が多い場合、後見開始の申し立てを断ろうということではありません。実際、本人、配偶者、親族のほとんどが後見は必要ないと言っても、誰かから後見をつけるよう申し立てがあれば、家庭裁判所は後見人をつけています。

「何のために親族の意見書があるのか」「いらないと言ったのに後見人をつけるなら、意見書なんて要らないじゃないか」という意見は少なくありません。

家庭裁判所が親族の意見を聴くのは、後見を始めるかどうかをはかるためではなく、親族間の争いがあるかを把握し、争いがある場合、弁護士等、親族以外を後見人につける理由をたたせるためと考えるのが現実的と言えるでしょう。

資料19は、家庭裁判所が用意している「親族の意見書」のひな型です。

たとえば、以下の2の傍線部分に「反対」と書き、反対の理由をつけたからと言って、後見等を無しにすることはほとんどありません。

【資料19より抜粋】

 2 本人について後見(保佐・補助)を開始することに関する私の意見は以下のとおりです。
 □ 賛成である。
 □ 家庭裁判所の判断に委ねる。
 □ 反対である。【反対の理由】
 □ 後見(保佐・補助)を開始するほど判断能力は低下していない。
 □ 理由は次のとおりである。

同じく、以下の3の人選について、家族が良いとか、その理由を書いても家族が選任されることはほとんどありません。

【資料19より抜粋】

 3 本人の成年後見人(保佐人・補助人)の選任に関する私の意見は以下のとおりです。
 候補者(氏名:     )が選任されることについて
 (候補者がいない場合には,家庭裁判所が選ぶ第三者が選任されることについて)
 □ 賛成である。
 □ 家庭裁判所の判断に委ねる。
 □ 反対である。又は意見がある。理由は次のとおりである。

そもそも、後見人(保佐人、補助人)を選ぶ時に、家庭裁判所は、本人の親族の意見を尊重しなければならないという法律はありません。法的義務がないのに、わざわざ、用紙まで作ってヒアリングするのは不思議とも言えるでしょう。

ところで、成年後見制度が始まった頃は、4親等内の親族全てに意見を聞かないと申し立てが出来ないと思っていた自治体もありました。それだけで2年近くかかったという実例もあります。その後、簡素化する意味で、意見を求める親族は2親等まででよいという運用に代わっています。

しかし、最近は、本人、配偶者、親族の誰にも意見を聞かずに、家庭裁判所に後見人をつける手続きをとってしまう自治体が急増しています。この事実からして、成年後見制度において、親族の意見が軽視されていることがわかります。