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2023.02.05 更新

「収支予定表」(資料24)とは、後見を受ける予定の人の収入と支出の中身と金額を、家庭裁判所に伝えるための資料です。


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高齢者の収入として多いのは年金ですが、アパートを持っている人であれば、家賃収入もあるでしょう。障害者の場合も収入の大半が年金という人が多く、なかには、働いている人もいるので給与という項目が登場することもあります。

支出といえば、食費・電気代・電話代などの生活費、薬代・病院代・介護費用などの療養費、家賃などの住居費、固定資産税や住民税などの税金、健康保険料や介護保険料などの保険料、その他としておこづかいなどが考えられます。

いずれも細かい作業となります。また、わからないこともあるでしょう。当然ですが、わかる範囲で書けばよいとされています。

毎月の収入と支出の項目と金額を記載し、それを12倍して、一年間の収支を書き上げるのですが、家庭裁判所が注目しているのは、収支が赤字になるか黒字になるかでしょう。収支が黒字であれば財産は減らないので、職業後見人が選任されることが多く、収支が赤字であれば財産が減っていくので、職業後見人ではなく家族などが後見人に選ばれることが多いようです。

後見を始める時は、「収支予定表」を提出しますが、後見が始まると「収支状況報告書」となり、毎年の結果を書いて、家庭裁判所に提出することになります。その収支の項目と金額を見ていると、その人の生活の様子をうかがい知ることができます。

資料25は、被後見人となったある方の3年分の「収支状況報告書」の主な項目を抜粋したものです。その方は、ご主人を亡くし、在宅で一人暮らし。70歳代の娘さんが週に1回程度、様子を見に行っています。


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まず、収入を見てみましょう。年金収入は、288万円、286万円、287万円となっています。後期高齢者医療高額療養費と区の介護保険費用は年々減少しています。普通預金の利息が1,968円、1,178円、1,106円と減少していることから、預貯金を切り崩して生活している様子がうかがえます。このケースでは、スーパーのポイント還元も収入に入れており、それぞれ3万円、1万円、1万円となっています。

それらの収入を合計すると、初年度は3,262,561円、2年目は3,130,045円、3年目は3,076,489円となっています。

支出を見てみましょう。食費と雑費が、388,151円、 506,661円、530,708円と年々増えています。支出の大半を占めるヘルパー給与が、647万円、665万円、675万円となっています。実はこの方、4名のヘルパーがローテンションで、在宅24時間泊まり込み体制を取っているので、だいたい月に50万円強かかります。

訪問医療、訪問入浴、デイサービス、レンタルベッド、訪問歯科、薬代を合わせると、58万円、52万円、48万円となっています。中身を見ると、訪問医療と訪問入浴代が年々増え、通所のデイサービス代が年々減っています。このことから、行くよりも来てもらうことが増えているのがわかります。

これらの支出の合計は、7,736,609円、8,007,132円、8,094,937円となっています。収入が減って、支出が増えていく様子がうかがえます。