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2023.02.20 更新

後見人候補者の欄に親族や知人、NPO等の団体を記載して、後見開始の申し立てをすると、家庭裁判所が指定した日時に後見人としてふさわしいかどうかの面接を受けることになります。
歴史的にも制度上も、家族が後見人になるのが原則ですが、近年は法定後見の8割で家族以外の人が後見人に選ばれています。そのため、「後見人候補者面接は親族などを落とすため」に行っているのではないかという声も聞こえてきます。

既に提出している後見人候補者情報になぞって、調査官にプロフィールなどを聞かれます。後見人の仕事を理解しているのか、本人のお金をどうするのか、本人の医療や介護はどうするのか、後見報酬はもらいたいのか無料でいいのか、などを聞かれます。さほど難しいことを質問されないので、多くの人が「大丈夫だろう」と思いますが、面接後、見ず知らずの弁護士が後見人になったとか、自分が後見人になったけれど頼んでもいない後見監督人がついた、ということもしばしばあります。

親の財産の使い方や、在宅で介護を受けるか施設に入るかなどで、子供たちの意見が分かれている場合、それだけをもって「紛争案件」と位置付けられ、ほぼ自動的に家族以外の人が後見人に選ばれるという実情もあります。本来であれば、本人面接と連動させて、子供たちのうち、どちらの意見が本人のためになるのかを判断し、家族のなかから適当な方を後見人に選ぶべきなのでしょうが、そのような運用は少ないようです

面接で、成年後見制度のことを少しでも悪く言おうものなら、「後見人として不適格」という記載が、報告書の調査官の意見の欄に書かれることがあります。
次に紹介するのは「弁護士後見人の業務があまり良くないわりに費用が年間100万円と高い。同居したことがある自分が後見人になったら、本人はどこで、どのように、いくらくらいの金額で生活する予定であり、自分はそれができるので、自分を障害のあるいとこ(既に被後見人)の後見人に追加して欲しい」と具体的に書いて申し立てをしたケースです。調査報告書の「調査官の意見」の欄を原文のまま紹介します。

「申立人は、自身が後見人に選任された場合は、第三者専門職の後見監督人及び裁判所の指示や指導に従う旨述べているものの、裁判所が第三者専門職の後見人を選任すること自体にはんたいしており、現後見人を解任したうえで、その後任として自身を選任することを主張している。申立人は、第三者専門職の後見人全般に対する不信感、ひいては成年後見制度に対する不信感を表明し、専門職後見人への協力を拒否すると主張している。本調査において後見人の職務について説明を受けてもその態度は変わらなかった。申立人が成年後見制度について十分な理解と協力が得られているとは言い難いため、後見人としては適格性が不十分と言わざるを得えないと考える」

そして、この調査官は「選任については却下相当と考える」と審判官に報告書を出しています。