いよいよ、家庭裁判所から、後見を始めるよ、後見人は誰になったよ、という通知が来ます。この通知は、後見を始める手続きを取ってからおよそ1か月から3か月くらい後に、後見を始めるよう申し立てた人、後見を受けることになった人、後見人に選ばれた人に郵便で届きます。家族や診断書を書いた医師には連絡は一切ありませんので、「知らないうちに後見人がついていた」という家族や、「自分が出した診断書通りの結果になったのかどうか全くわからず、今後の参考にならない」という医師もいます。
通知が到着してから2週間以内であれば、家庭裁判所に対し、結果に対する不服を申し立てることができます。これを「即時抗告」といいますが、「なんでこの人が後見人なの?そんなのおかしい」と思っても、人選に対しては文句が言えないことになっています。つまり、「家庭裁判所が選んだ後見人が不満だというのならば、もっと前に任意後見を使って、自分で決めておけばよかったでしょう。自分で決めておかずに、家庭裁判所が決めたことに対し文句を言うのはおかしいでしょう」ということです。
では、何に対して文句を言えるのか?
二つあって、一つ目は「類型」についてです。すなわち、後見か、保佐か、補助か、についての不服です。つまり、「後見ほど悪くないでしょう?」とか、「補助ほど程度が軽いわけないでしょう?」だから、もう一回やり直して下さいということです。また、プロセスに瑕疵がある場合です。「本人へのヒアリングをしていない」とか「鑑定をしていない」とやり直しを求めることも、しばしばあります。
もう一つは、手続きのためにかかった費用、例えば、収入印紙や切手代などを誰が払うことになったかについてです。例えば、被後見人が払うという審判になったとき、被後見人が「申し立てた人が払うべきでしょう。なんで私が払わないといけないの?」と不満を持った場合です。
不服申し立てをさせないために、審判の通知郵便が本人に渡らないよう画策されてしまうこともあります。本人に内緒で申し立てをするケースに多いのですが、本人が住む老人ホームの職員に、「家庭裁判所から本人宛に郵便物が来ると思うけれど、本人に知らせないでください」とか「家庭裁判所からの郵便物は、届いて2週間を過ぎてから渡してください」と指示や依頼をします。老人ホームの職員は、詳細を知らないのでよくわからないまま「わかりました」と言い、本人の監理フォルダーに郵便物を挟んでしまい、本人や家族が文句を言う機会を喪失させてしまいます。弁護士や自治体が関与していることもあり、「アンフェアなことをするなあ、姑息だなあ」と思うことも少なくありません。
家庭裁判所の審判官が1人で行った仕事に対して即時抗告をすると、高等裁判所の裁判官が3人で検討し、「そのままでよい」あるいは「やり直し」という決定を下します。即時広告を出してから2か月くらいで結果が出ることが多いようです。
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