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2023.03.02 更新

いつ、どこで、誰が、誰の後見人になったか、その情報は登記されることになっています。以前はそのような情報は本人の戸籍に記載されていましたが、2000年からは「後見登記等に関する法律」に基づき、法務局に登記されることになっています。
この登記こそ、後見人、場合によっては保佐人、補助人であることを示す公的な身分証明書です。後見人等になれば、法務局で550円の手数料を支払って登記事項証明書を取り、本人の代わりに取引先となる銀行、保険会社、介護施設などに提出、提示します。数年前まではどこへ行っても「登記事項証明書の原本をください」と言われることが多かったのですが、最近では、原本は見せるだけで、取引の相手先が原本をコピーして保管し、それ以降の取引の根拠とするという運用が多くなっています。


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登記事項証明書を正確に読むことは、実務においてとても重要です。というのも、金融機関で、登記事項を読み間違え、権利のない人にお金を払い戻してしまうことなどが散見されるからです。後見する方にとっても、自分は何ができ、何が出来ないのか、登記事項から見分けることが重要です。ついては、実際の登記事項証明書をもとに、その読み方や、書かれている事柄の背景にある後見の思想や原理を解説します。

資料27はある事例の登記です。大津家庭裁判所とあるので滋賀県のケースであることがわかります。令和2年11月11日に後見が決定し、11月13日に登記されています。2020年のケースなので登記番号は2020の何号と記載されます。後見を受けることになった人は昭和19年生まれの方、そのほかにわかるのは氏名、住所、本籍です。その下に、この人の後見人になった方の氏名と住所が書かれています。

右下に1/1と書かれているので、このケースの登記事項はこの1枚だけとなります。 シンプルと言えばシンプルですが、この一枚が意味しているのは非常に重いものです。というのも、ここに書かれた後見人には、何も書かれていませんが、これは本人に代わってすべての法律行為ができるということを意味しているからです。何ができるかが具体的に書かれていなくても、銀行取引もできるし、老人ホームも決められます。遺産分割協議において幾らもらうかも本人に代わって決めることができ、自宅を売却することもできてしまうのです。それが後見類型ということです。

資料28を見ると、場所は群馬県内、成年被後見人1名に対し、成年後見人が2名ついていることがわかります。いわゆる複数後見というタイプの記載です。成年後見人のところに「事務の共同・分掌の定め」「別紙目録記載のとおり」という記載があります。その別紙を見てみると、「分掌目録」というタイトルがあり、「1.成年後見人Aは、成年被後見人の身上監護の事務を分掌する。2.成年後見人Bは、成年被後見人の財産管理の事務を分掌する。」と書いてあります。

分掌というのは手分けするということですから、Aは本人の健康面や生活面の手配や支払いを行い、Bは不動産や預貯金を管理するという役割分担型であることがわかります。このケースにおいて、Aは遺産分割の仕事をすることはできませんし、Bは老人ホームを決定することはできません。その権限がないことが登記事項証明書からわかるからです。