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2023.03.04 更新

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資料29をご覧ください。

東京家庭裁判所と書いてあるので、このケースの舞台は東京都内、平成22年3月20日に始まった後見案件であることがわかります。令和5年3月においても継続しているので、すでに13年間と長きにわたっています。

主役である成年被後見人は昭和29年生まれの方で、後見登記に性別は記載されませんが 男性です。障害を持って生まれ、兄弟姉妹もなく、両親が亡くなっています。

成年後見人Aは平成28年11月10日に家庭裁判所から選任されています。登記は11月16日。Aの下に、成年後見人であった者としてBとCがいます。記載内容を見ると、Bは平成22年3月20日に後見人となり、その後、平成28年9月13日に辞任していることがわかります。Cは、平成28年9月14日に後見人になり、2か月後の11月11日に後見人を辞めていることがわかります。

まとめると、後見人はBからC、CからAに代わっています。最初の後見人Bは被後見人のおじさんでした。被後見人の両親から「何かあったら息子を頼む」と言われ、両親亡き後、約束を果たすために、甥の後見人になったのです。その後、どうしてC、そしてAに代わったのかを説明する前に、成年後見監督人部分の説明をします。

今の成年後見監督人はXです。平成28年9月13日に就任しています。成年後見監督人であったYは、この案件が始まった平成22年3月20日に就任し、5年7か月後の平成27年10月20日に辞任しています。成年後見監督人Zは、前任者のYと交代する形で平成27年10月6日に監督人に就任し、1年後の平成28年9月14日に監督人を辞任したと思いきや、そのまま成年後見人Cとなりました。ややこしいですが、成年後見人であったCと成年後見監督人であったZは同一人物です。

この案件で、当初のおじさん以外、後見人、監督人は全員弁護士です。CとZが同一人物なので、総勢4名の弁護士が関与している案件となります。いずれの弁護士も家庭裁判所に、後見人または監督人候補者として登録しています。その4名のうち、本人に会ったことがあるのは1人で、後の3人は被後見人に一度も会ったことがないと親戚から聞いています。それなのに、報酬としてこれまでに総額2000万円近くが支払われているそうです。

実は、被後見人のおじさんである後見人Bが、自らの老いを感じ、自分の娘(被後見人のいとこ)に後見人を引き継ごうと思いました。被後見人は、Bの娘家族と同居していたこともあり、Bの娘も後見人なることを快諾しました。ついては、Bが後見人を辞めたいという手続きと、後見人にBの娘を追加して欲しいという手続きを家庭裁判所に取ったところ、Bが後見人を辞めることは認められましたが、Bの娘を後見人にすることは認められませんでした。そして、当時、成年後見監督人であったZが監督人を辞任し、成年後見人Cになったという経緯があります。

「なぜ、Bの娘ではなく、弁護士が後見人に選任されたのか!」とBの家族が家庭裁判所に苦情を申し入れました。すると、それを嫌がってか、家庭裁判所は後見人や後見監督人の候補者名簿にある弁護士を、後見人や監督人に追加し、入れ替え、このように複雑な登記になっているのです。
登記事項証明書は、その後見の様子を物語るものでもあります。