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2023.03.16 更新

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資料30は、兵庫県尼崎市界隈に在住の保佐の方の登記事項証明書です。平成28年10月に保佐が始まり、被保佐人は昭和14年生まれの方です。

保佐人は、平成28年10月14日に選任の裁判が確定し、5日後の10月19日に登記されています。その下に、代理権付与の裁判確定日があり、さらにその下に、代理権の範囲は「別紙目録記載のとおり」と書かれています。自分では何もできないとされる後見と違って、保佐の場合、自分でできることとできないことが混在しているので、何を代わりにしてあげるかという内容を代理行為目録に特定し、記載することになっています。

別紙目録を見てみると、「代理行為目録」というタイトルがあり、1から14と付された仕事の内容が記されています。

1には、「他人の不動産に関する借家契約の締結・変更・解除」と書かれています。このことから、被保佐人の住まいが賃貸であることがわかります。そしてこの記載により、保佐人は、被保佐人に代わって大家さんとのやり取りをすることができるのです。

1に、「家賃の支払い」という行為が書かれていませんが、4に、「定期的な支出を要する費用の支払い及びこれに関する諸手続(家賃・地代、公共料金)」とあるので、支払い行為は4をもとに、被保佐人の預貯金から保佐人が支払うことができます。

保佐人は、家賃を払うために被保佐人の預貯金口座からお金を下ろすでしょう。その行為は2の「預貯金に関する金融機関等との一切の取引(解約・新規口座の開設を含む)」をもとに行います。

ほかに、定期的な支出といえば、保険に加入している場合の保険料の支払いが想起されます。しかし、4には「家賃・地代、公共料金」とあるだけで、保険料の記載がありません。このケースの1から14をみても保険契約に関する記載がありません。このことから、被保佐人は、保険に加入していないか、または保険に加入しているが、保険に関する取引については自分でできるということで、代理行為目録に保険に関する記載がないということになります。

3は、「定期的な収入の受領及びこれに関する諸手続」です。具体的な内容として、年金、障害手当金、その他の社会保障給付と書いてあります。保佐人が被保佐人に代わって、年金事務所や自治体とやり取りする様子がイメージされます。

その他の項目を見ると、5は遺産分割等に関すること、6は介護サービスの契約に関すること、7は要介護認定に関すること、8は老人ホームとの契約に関すること、9は病院とのやり取りに関すること、10は不動産などの登記に関すること、11は税金の申告と納付に関すること、12は住民票や戸籍謄本等を市役所で取得すること、などについての記載となります。

見てきたように、この代理行為目録では、全部で14項目のジョブリスト、つまり、被保佐人に代わってできることが書かれていますが、項目数や内容はケースごとに異なります。