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前回に引き続き、資料33の同意行為目録について解説します。
2の(1)は、被補助人が誰かとお金の貸し借りをする場合、補助人の同意が必要ということです。
被補助人が、補助人の知らないところで、誰かとお金の貸し借りをしたとします。その1年後、補助人がその取引を知った場合、被補助人のためにならない取引であると思えば、補助人は同意権の裏側にある取消権を使って、その取引を無かったことにすることができます。あるいは、その取引が本人のためになると思えば、1年後ではありますがその取引に同意し、取引当初からその取引は有効なものになる、とういうことです。
補助人といえども、被補助人がどこで、何をするかを常に見張ることはできないので、知った時に補助人としての態度を、取引の相手に明らかにすればよいのです。なお、5年前に遡って取消権や同意権を行使できることになっていますが、成年後見制度を使う前に本人がした取引は同意権や取消権の対象にはなりません。
2の(2)保証人になるということも同様で、補助人の同意もしくは取り消しの対象になります。
3の(1)は、被補助人が誰かに何かをあげたり、お金を寄付する場合、補助人の許可が必要であることを意味します。被補助人から何かをもらったとしても、5年以内であれば、補助人はその贈与や寄付を取り消すことができるので、補助人が「取消」と言えば、もらった人は、もらったものを被補助人に返さなければいけなくなります。
3の(2)から(4)までの内容である、商品取引、証券取引、通信販売、インターネット取引、訪問販売、クレジットでの契約なども、被補助人が単独で取引した場合、補助人が同意すれば成立、同意しなければ取り消しとなります。
勘違いしやすいのは、ここに書かれている行為を、被補助人ができないとか、してはいけないと考えることです。「できない」とか「してはいけない」と言うことではなく、被補助人が単独で行った場合、補助人の同意をもって成立し、補助人の取り消しをもって不成立になると言うことです。誤解なきようお願いします。
3の(5)は、金銭の無利息貸付で、1の(2)にある金銭の利息付貸付けと併せ、この被補助人が誰かにお金を貸す場合、利息の有無にかかわらず、補助人の同意もしくは取り消しの対象になるということです。
4は、誰かから、被補助人が何かをもらった場合、補助人が「取り消す」とすれば、被補助人はもらったものを返さなければいけないし、補助人が「同意する」とすれば、被補助人はもらったままで大丈夫ということです。
「同意」と「取り消し」は、面倒だったり堅苦しいように思えますが、自分のことは自分でしてもらおう、そして、変なことをしてしまったらそれを無しにする、大丈夫ならそのままにする、という配慮とも言えます。
欧米では、「代理」より「同意」や「取り消し」が後見人等の主流なツールになっていますが、日本では、「同意」や「取り消し」を使うことは皆無に等しく、本人に代わって行う「代理」が主流です。この点、国際的に見ても、また、障害者権利条約に照らしても、日本の代理権優先の運用は速やかに改めなければいけないと指摘を受けているところです。
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