後見人等としての最初の仕事は、被後見人等の財産が、どこに、いくら、どのようにあるのかを調べ、家庭裁判所に報告することです。この調査と報告は、後見人等になる審判が確定してから1か月以内に行わなければならない、という法律があります。
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被後見人等の財産の有無を金融機関に照会するのに日数がかかることがあります。そのような場合は、家庭裁判所に「あと1か月ほど時間を下さい」と伝えると、家庭裁判所は期日を延長してくれます。延長手続きをせず、単に遅いだけだと、家庭裁判所に「大丈夫かなあ?後見人の仕事ができるかなあ?」と思われてしまうので、時間が必要な場合は事前に家庭裁判所に伝えましょう。
被後見人等の財産を調査するにあたり、金融機関から登記事項証明書の提出を求められますので、法務局で事前にとっておきましょう。
調査にあたり、金融機関の窓口へ行く場合もあれば、電話や郵送で照会することもあるでしょう。財産の数や種類が多い場合、財産調査の仕事を外部の業者に依頼する人もいます。その費用は被後見人等の財産から支払うことになります。調査の過程で、何も無いと思っていた金融機関に多額の資産を見つけたり、思ったより少なかったりすることもあります。
資料34は、実際に家庭裁判所に提出する「財産目録」の記載例です。その内容は、預貯金、株式などの有価証券、不動産、保険、貸付金、借金、相続でもらえる財産となっています。自分の財産ならすぐに書けるでしょうが、他人の財産の目録を作るとなると少し堅苦しい感じがするかもしれません。この感覚は家族の後見人になる場合も同じです。親などが、どのような気持ちで財産を作って来たか、感じ取ることができる作業といえるでしょう。
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「財産目録」が完成したら、「年間収支予定表」を作成します。資料35はその記載例です。収入と支出を、項目に分けて書くのですが、精緻に書こうとすると財産目録を作るより手間がかかることが多いようです。なぜなら、収入は固定的ですが、支出は変動することがあるからです。
記載例の支出は、生活費、施設費、住居費、税金、保険料など、当然に払うべきものが見出しになっています。しかし、生活においての出費は、衣類、外食、移動、旅行、冠婚葬祭、娯楽、お年玉、その他のバリエーションがあります。ついては、「その他」となっている項目に注目しましょう。被後見人がどのような社会生活を営むのかを1年先まで展望し、被後見人が楽しく過ごせるように「その他」の項目を書くと、面倒と思うことも少なくなるし、後見人として被後見人をハッピーにしてあげようとワクワクしてくることもあります。
「財産目録」と「年鑑収支予定表」が完成したら、家庭裁判所に提出します。家庭裁判所の確認を経て、いよいよ、後見人としての対外業務が始まります。その途中で、本人の通帳や加入していた保険を発見したら、家庭裁判所に連絡し、見つけた内容を財産目録に追加し、家庭裁判所に再提出すれば大丈夫です。
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