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2023.03.24 更新

後見人は、被後見人となった方の郵便物も管理することになります。同居の家族が後見人ならば、被後見人宛の郵便物はそのまま自宅宛てでよいでしょう。しかし、被後見人が自宅を処分して老人ホームに入った場合、被後見人宛の郵便物は、本人がいる老人ホームか、後見人となった家族宅宛てに設定することになるでしょう。

郵便物転送の例として、市町村から被後見人宛に出された郵便物を後見人へ送付してもらう場合、手続きが必要になります。
市町村長や福祉事務所長等宛てに届け出る場合が多く、申請する後見人は、「市町村から本人(成年被後見人等)宛に送付される通知書等は、成年後見人等宛に送付するよう届け出るとともに、所管課で情報を共有することに同意する」や「本人が被保佐人又は被補助人である場合は、この届け出の提出や情報共有について、本人の同意を得ている」とか、「送付先登録に伴う一切の責任については、申請者(成年後見人等)が負い、添付書類の記載内容については、相違ない」といった同意をします。

そして、申請する後見人の名前や住所、被後見人宛の郵便物の送付先といった情報を記載することで、税金、健康保険関係、福祉・住宅関係、水道などの郵便物が、指定されたところに届くことになります。

役所はこれでよいのですが、金融機関その他からの被後見人宛ての郵便物もあります。
また、職業後見人と言われる人たちが後見人になった場合、家庭裁判所を通し、郵便局に、被後見人宛ての郵便物を自分の事務所等へ送る手続きを取ることが一般的です。


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資料37は、成年後見人が家庭裁判所に提出する申立書の見本です。タイトルは、「成年被後見人に宛てた郵便物等の回送嘱託申立書」です。

1枚目は、申立人と成年被後見人の氏名などを書きます。そして、2枚目の「申立ての趣旨」にある「郵便物の回送嘱託」にチェックをして、「日本郵便株式会社に対し,成年被後見人の住所に宛てて差し出された成年被後見人宛ての郵便物を申立人(成年後見人)に配達すべき旨を嘱託するとの審判を求める。」と書いています。要するに、家庭裁判所が郵便局に対し、「被後見人宛ての郵便物を後見人のところへ送れ」と命令するのです。仰々しいようですが、これが手続きです。

この転送手続きのせいでこんなことがありました。被後見人となった夫宛てに、「大学の同窓会」のお知らせが来ていましたが、転送設定により後見人のところへ、その葉書が送付されました。その葉書を妻が後見人から渡されたのは半年後で、同窓会はすでに終わっていたのです。同窓会への出欠については、契約も支払いもないので後見人の管轄ではありません。だから、後見人は「これは自分が見るべきものでも保管すべきものでもない」として、直ぐに被後見人やその妻に渡さないといけなかったのですが、そのような意識も実務もなかったということです。被後見人は、後で知って悲しそうな顔をしたというのですから、お気の毒と言わざるを得ません。