後見人は脇役ですから、主役である被後見人が亡くなったら任務完了となります。また、何かしらの理由で被後見人の判断能力が改善し、ある程度のことができるようになった場合も後見は終了します。この場合、後見人等、被後見人等、そのご家族が、「後見開始の審判の取り消し」「保佐開始の審判の取り消し」「補助開始の審判の取り消し」のいずれかを行います。
被後見人が亡くなったら、家庭裁判所に一報を入れておきましょう。葬儀等が終わり、2か月以内に本人の財産目録を作成し、相続人に財産の引き継ぎを行い、家庭裁判所に最終報告をします。後見が始まる時や、後見の途中に比べ、終わる時の家庭裁判所の態度のあっけなさに驚く親族後見人は少なくありません。
被後見人の能力が回復したことで後見が終わる場合、被後見人に通帳、ハンコ、その他を引き継ぎます。しかし、被後見人の能力が完全に回復することはあまりないので、後見が終わっても実際は、配偶者や家族等が、本人に頼まれて後見人的な仕事をするのが一般的です。
被後見人が死亡したり、後見等を取り消す審判が出た後は、後見人としての代理権等は消滅するので、代理権を使って、金融機関からお金を下ろしたりすることはできません。それが証左に、被後見人が亡くなったことを知らせると、金融機関はその口座を凍結し、後見人からの引き出しにも応じません。
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資料39は、富山の家庭裁判所が公示している「後見人の任務が終了した場合の事務について」という資料です。
後見される人目線ではなく、後見する人目線の資料なので、「被後見人が死亡された場合または後見人が辞任・解任した場合,後見人の任務は終了します」となっています。
具体的な流れとして、「1 除籍事項証明書の取得」として、「市町村役場で,被後見人の死亡年月日が記載された除籍事項証明書(除籍謄本)の交付を受け,写し(コピー)を一部作成してください」とあります。
次に、「2 終了の登記手続」として、「除籍事項証明書(原本)を添付し,後見終了の登記申請書を東京法務局へ提出し,後見終了の登記手続を行ってください」とあります。後見を開始するときは家庭裁判所が法務局へ登記の手続きをするのですが、「終わったときは自分でやりなさい」と言うことです。
「3 管理の計算,財産の引継」として、「後見が終わってから、2か月以内に,財産管理の収支を計算し,被後見人の財産目録を作成すること」が書かれています。2頁目下方に、「後見監督人がいる場合、その目録は後見監督人のチェックを受けること」が記載されています。
「4 後見事務終了の報告」として、「終了報告書を作成し,財産目録と引継書,預貯金通帳等のコピー,除籍事項証明書の写しを添付して家庭裁判所に提出する」となっています。
ここで、下方に、「預貯金口座の凍結解除を後見人だった人はしない方がよい」と書かれていますが、後見人からの要請がないと凍結を解除しない金融機関も実存します。その場合は、元後見人としての手続きを行うか、元後見人に金融機関へ届け出るよう要請することになります。
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