高齢者の後見の特徴をお伝えします。
後見される人(被後見人)の多くは、いわゆる認知症、要介護高齢者です。ついては、介護サービスをどうするかが後見人のおもな仕事になります。
被後見人が施設等に入ると、自宅が空き家になることがあります。賃貸であれば、後見人は賃貸契約を解約し、引っ越し業者を頼むことになります。持ち家であれば、一軒家でも、マンションでも、それを売るか、貸すか、そのままにするかを、後見人が決めなければなりません。売るとなれば、売りに出してくれる不動産屋を探し、相見積もりを取ります。そして一番条件の良い相手と取引をします。
被後見人に法定相続人がいる場合、売りに出す前に、実家をどうするか、一緒に話し合うのが常識的ですが、家族以外の人が後見人になると、そのような話し合いを持つことなく、家が売却されてしまうことも少なくありません。お子さんから、「いつの間にか実家が売られていた」とか「実家に行ったら『売り物件』という立て看板があってびっくりした」という相談を受けることもしばしばあります。
また、被後見人が施設等に入る場合、後見人は、自宅にかかっていた火災保険や地震保険を解約することになります。自動車を処分する場合は、自動車保険を解約します。
生命保険や医療介護保険等に加入している場合、被後見人が、要介護の状態になったり入院すると、保険金が下りることがあります。保険金は、誰かが請求しなければもらえません。よって、後見人は、被後見人が加入している保険とその内容を把握し、もらえるものをもらえるよう、仕事をしなければなりません。
被後見人に家族がいない場合、お墓や葬儀をどうするかということも視野に入ってきます。後継者がいない場合、墓じまいをする人もいます。被後見人が亡くなってからは後見人の仕事はできないので、生きている間に、墓じまいの手続きをすることもあります。
どのような葬儀にするか、具体的には、誰を呼ぶか呼ばないか、料理を出すか出さないか、その他についても、被後見人が生きている間に、後見人は葬儀社と話して決めることになります。最近では、樹木葬や海洋散骨に加え、遺骨をカプセルに入れロケットで打ち上げる宇宙葬もあります。どのようなスタイルにするか、被後見人と話しながら、後見人が事前に契約し、費用を支払うことになります。
ペットを飼っている被後見人もいます。ペットは被後見人の大切な財産ですから、後見人は、ペットを粗末に扱ってはいけません。真剣に、被後見人がペットと一緒に入居できる施設を探したり、ペットとウマの合うペットシッターを手配し、その費用を払うのも後見人の仕事となります。神経質なペットの場合、不慣れな場所に移動させられたり、見知らぬ人と接することでストレスを感じ、早死にしてしまうこともあります。ペットが亡くなったことを被後見人に伝える後見人もいれば、伝えない後見人もいます。
いわゆる終末期になると、延命治療をするかどうかという決断を病院に迫られます。しかし、日本では、後見人に、どのような医療を受けるか受けないかについての権限は与えられていません。そのため、被後見人の意思を尊重しながら、家族や医療関係者でどうするかを決め、その決定に従い、後見人は書類にサインしたり、必要な費用を払うことになります。
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