昨年は6月から梅雨明け状態で、東京の7月など真夏日が過去2番目の27日間もあり、最高気温となった38.1度は7月として過去最高の記録だったと言います。名古屋でも連日30度を超す猛暑の夏でした。このような「うだる」といったほうがいい程の真夏日(気温30度以上になった日)が続きますと、エアコンの効いた部屋に閉じこもりたくなったり、そうめんのようなあっさりした食べ物ばかり食べたかったり、ビールやジュースなど冷たいものを飲み過ぎたりしがちです。そして、そのうちに「体がだるい・疲れがとれない」「仕事をする気がおきない」「食欲がない・胃腸の調子が悪い」などいわゆる夏バテの症状がでてきます。また、熱帯夜が続いたり夜更かしをして睡眠不足になることも夏バテを助長することになります。夏バテの犯人は高温・多湿。できれば夏場は何もせずに寝転んでいるのが一番かもしれませんが、今の世の中、仕事だ、レジャーだと忙しすぎるので、疲労が溜まり活力を調節するホルモンの機能まで低下してしまいます。それに、外の暑さと思い切りクーラーの効いた部屋との温度差が激しいところを出たり入ったりの繰り返しで、体温の調節不良を起こし自律神経失調症になることもあるそうです。自宅では外気と室温との差を5度以内にすることが大切といいます。
夏バテを防ぐには、ともかく原因となることを避けることですが、特に暑いときは帽子をかぶったりして肌を直接日光に当てないように遮ることが暑さ防止と日焼け防ぎの第一歩ではないでしょうか。そこで思い出すのが昨年の猛暑の最中のことです。「雨が降ってきたかと勘違いした」人がいたという程、街には日傘をさした人が多かったことをその頃の繊研新聞(01.7.19)が報じていました。紫外線防止としての日傘は新素材の黒と白が好調で、特に黒に人気が集中していることや、デパートの日傘売場が「まるでバーゲン会場のような盛況」だと書いていました。また、ポリマーを水に浸すことで一日中頭をクールに保つクールハットが50代以上の男性に売れているとか、ミセスの紫外線対策は指先までということでUVカット手袋も売れていて日傘同様黒が人気とか、吸汗速乾のTシャツや涼感素材の紳士用肌着の売れ行きなども載っていました。私は繊維製品品質管理士という仕事柄興味深く読んだことを記憶しています。ここで参考までに少し前のデータですが、直接日光での日傘の実験をご紹介します。
試みたのは、女性用の晴雨兼用傘をさした時とささない時との比較で、さした時の頭皮表面温度は37.8度、ささない時は42.1度とその差が4.3度もあるので、日傘は大いにさしましょう。それから、「白」「黒」の婦人用傘の温度変化についての実験もありますが、結果的には●色彩的な効果は少ない●遮光効果は傘の大きさに比例する●日差しを通しにくい厚手の布が良い、というのが結論です。
夏バテでもう一つ気をつけたいことに「食欲減退による栄養不足」と「発汗に対する水分補給」があります。夏バテの魔の手から逃れる早道は蛋白質をとることともいいます。
夏バテで食欲のないときでも喜ばれる代表的なものとして、「畑の肉」と呼ばれる大豆を主原料としたお豆腐があります。お豆腐には必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質の蛋白質をはじめ、コレステロールを代謝するリノール酸、ビタミンB1、E、カリウムなど豊富な成分がしっかり詰まっていて、淡白な味わいが夏には欠かせない健康食品です。更に緑黄色野菜などを組み合わせますと、お豆腐に不足しているビタミンA・Cなどが補われて理想的な一品になります。
また、夏のスタミナ源としては誰でも思い浮かぶものに土用の丑の日に食べる鰻があります。鰻も脂肪・蛋白質・ビタミンAなどが多く栄養価の高い食品です。鰻以外の魚、牛、豚の肉やモツ、卵、チーズなども蛋白質の多い食品です。但し、鰻など夏のスタミナ食品の多くは酸性食品です。夏は汗をかいて体液も酸性に傾きやすいので、アルカリ性でミネラルの多い野菜や果物、海藻類、牛乳などを一緒にとることを忘れないことです。
実は、我が家では夏になると必ず冷蔵庫の中に並んでいる飲み物があります。私の手作りで自称即席カルピスです。作り方は至って簡単、スキムミルクと砂糖を合わせ水を加えて静かに攪拌しながら加熱、きれいに溶けて軽く煮沸したら粗熱をとり、乳酸・クエン酸・レモンやバニラの香料を混ぜて出来上がりです。牛乳は乳幼児から成長期の子供、貧血ぎみの女性、ストレスの多い中年、生活習慣病が気になる熟年、そして高齢者まで毎日とりたい栄養的に完全に近い食品ですが、カロリーが気になる方には牛乳にかわるスキムミルク(脱脂粉乳)が何よりです。出来上がった自家製カルピスの適量を冷えたコップに入れて冷水で割って水を浮かせて頂く味は格別です。
その他、夏バテを乗り切るには十分な睡眠が大切です。寝る前の少しぬるめの40度ぐらいのお風呂にゆっくりつかると体もほぐれて快眠できます。また、午後の暑いひととき、ちょっと昼寝をするといいともいいますから、通勤車中のうたた寝なども疲労回復の理にかなっているわけで、何とか座席確保の幸運に浴してしばしの心地好い寝不足解消に努めたいものです。何でも10分間の昼寝は夜の1時間に匹敵するそうですから。
今年の夏は暑さと上手に付き合って、夏バテしないようにしたいものです。
|