この通信は、シニアが気になる!数字やトピックスから、安全・安心な社会をさがし求めます。
No.48/2010.4.23(金)発行
発 信/SLAとうきょう

昭和の風景は「思い出の ちから」

今号は、その20 <昭和55年>1980年のできごとロジー

●<話題・世相>内閣不信任案可決され、参同時選挙・自民党圧勝・大平首相急死・鈴木内閣発足
イラン・イラク戦争勃発
韓国光州事件
モスクワ五輪開催・日本参加せず
ジョン・レノン射殺さる
●<流行語>皆で渡れば怖くない・竹の子族・とらばーゆ・ぶりっ子・ノーパン喫茶
●<ヒット商品>ルービック・キューブ・チョロQ・ウォシュレット・ポカリスエット・樹木希林フジフィルムCM
●<物価>国鉄初乗り100円・ビール240円・ピース(10本)90円・封書50、ハガキ20円
●<はやり歌>帰ってこいよ・恋人よ
●<その他>王引退、松坂プロ入り・山口百恵結婚・銀座1億円拾得事件

★出典=ザ・20世紀より

※「それなりに…」まだ頑張っている樹木希林。「皆で渡れば怖くない」…いまも健在。

<小さな特集> 無縁社会
縁側の ちから


藤木亘「小さな画室」より<牛ヶ淵(建物は九段会館)>
http://www.ne.jp/asahi/fjk/art/

★「遠くの親戚より近くの他人」という諺は、親類が頼りにならないのでなく、「ご近所との助け合いが大切!」と覚えさせられた。人びとは、隣り近所と、縁側を通じて支え合いながら生きていくのが自然の形だった。それは今も昔も変わりないはずなのだが・・・。

★昨年暮れと、4月に再放送されたNHKスペシャル『無縁社会』の反響がおおきな広がりをみせている。

★家族や地域から“縁”を失い、人知れず亡くなっていく「新たな死」のかたち、「無縁死」は、NHKの独自の調べによると、その数は年間3万2000人に上る。死後の身辺整理や埋葬などを請け負う「特殊清掃業」や「直葬」といった言葉も生まれている。番組放送中からブログやツィッターへの書き込みは夥しい数に達し、30代、40代などの世代から多く寄せられたという。

★この春、全国SLA協会が行った全国一斉電話相談にも、「一人世帯」がますます増え、家族はいるが断絶している、迷惑をかけたくないから言わないといった「家族がありながら、身寄りがない・・・」と切実な相談も寄せられた(関連記事=SLAによる「シニアの悩み110番」集計結果は、「気になる数字」に掲載)

★かつて日本社会を紡いできた「地縁」、「血縁」、「社縁」のような「絆」は取り戻すことができないのだろうか? 縁側づくり…をキーワードに「まちづくり」や、居場所づくりを試みるケースをひろってみた。


縁側のある家:川崎民家園にて

★「縁側」づくりで、「まちづくり」。

★「岡さんのいえ・TOMO」(東京・世田谷区)は、昭和の雰囲気を残す一軒家。昔なつかしい「ちゃぶ台」を囲んで、お茶やおしゃべりを楽しむ地域のだんらんの場だ。オーナーだった岡さんは戦後間もなく自宅を開放して近隣のこどもたちにピアノや英語を教えていた。その意志が継がれたこの家は「地域共生のいえ」。個人の家や建物空間などを地域に役立てる取り組みは、「世田谷トラストまちづくり」組織が支援している。同区の「茶論ワンコイン」も地域の縁側、集いの場を提供する。
<URL: http://www.okasannoie.com

★「みんなのえんがわ池袋(東京・豊島区)は、ビルの1階にある店舗型空間。ギャラリーあり、産直品ありのコーナーは、一人暮らしのお年寄りや、子育てに迷う主婦、コミュニティーになじめない外国人の居場所にもなる多目的スペース。シャッター街対策にも兼ねる。区のNPO推進協議会が支援するのは、ここも同じ。 <URL: http://engawa.toshima-npo.org

★「まちの縁側 MOMO」(名古屋市東区)も、むかしの家の縁側のように、通りがかりのひとが気軽に立ち寄り、情報を交換できる、出会いとふれあいの空間づくりがモットー。推進するのは、その名も「まちの縁側育み隊」というNPO法人。手づくりの場、イベント開催など通じ、さまざままな世代との交流、出会いの機会をふやすことを心掛ける。 <URL: http://www.engawa.ne.jp

★昔の家のどこにでもあって、家族(三世代)の団欒の場であり、仕事の場であり、地域社会の交流の場だった「縁側」。そのぬくもりを再現し、市のマスタープランに掲げる「元気な高齢者づくり」を通して介護予防をしていく・・・「えんがわくらぶ」(古賀市、代表・山川寿人さん)の家は、地元の小学校内に建つ。部屋にも花壇にも、いつも子どもたちの声が絶えない。設立からすでに10年を経過、利用者の多くから地域リーダーが育ち、三世代交流や子育て支援、見守りなどに市民ボランテァアとして活躍している。
<URL: http://www.sla.or.jp/engawa/

★家族が減って出来た空き部屋など利用し、ギャラリーやカフェとして近隣や知人に開放する人も増えている。都内の住宅街に住む主婦のMさんは、ガレージを改装して喫茶つきのミニ・ギャラリーをはじめた。染めや織りの手づくり工房ギャラリーとして今ではすっかり定着、一年先の予約も埋まる盛況だ。横浜市の女性は「自宅ホスピス」を開設した。
こうした自宅開放の試みは、「住み開き」とも呼ばれ、新たな生活スタイルとしての動きでもあるという。蔵書を「個人図書館」に、コレクションの博物館、屋上を「空庭」として公開して喜ばれている例をあげる(読売新聞4/6より)
ガーデニングを楽しむ人達が個人の庭を開放する「オープンガーデン」も、あちこちにふえている。民間や個人の自宅開放は、私的な領域だからこそ相手との距離が近づくことが出来るとも。自分も楽しみながら、ご近所との縁側づきあいがはじまることに声援を送りたい。

「不安」がいっぱい! 「安心」をください!

★ゆがんだ家族関係?「一人暮らし世帯」の悩みが深刻…<電話相談の集計結果>
全国シニアライフアドバイザー協会主催、(財)シニアルネサンス財団後援による全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」の集計結果がこのほどまとまった。
去る3月27・28日の両日、全国8か所(札幌・仙台・東京・大阪・広島・福山・福岡)のSLAが相談員となって実施され、610件の相談をうけた。相談内容の上位5項目は@家族・夫婦164件、A経済76件、B健康・医療68件、C住居50件、D相続・遺言45件。
相談件数でいちばん多かったのは「夫婦・家族」に関するもので全体の3割を占めたが、内容的には「自分自身の悩み」よりも、親・夫・こどもに関する相談が半分以上を占め、親離れ子離れ出来ない、現代の家族の関係が浮き彫りされた。 

★家族はいても、身寄りがいない!
また、これまで多かった「年金」相談に代わり「生活苦」の悩みに関する相談がぐんと増えたのも今回の特徴。一方で、健康に不安を持ちながら家族に言えない。病気になっても「連帯保証人」がいないなど、“家族がいても身寄りのない”切実な訴えもあった。
相談者の年齢構成は前期高齢者(65歳〜74歳)の255人をトップに、75歳以上が151人と相談者の3分の2が65歳以上だったが、80歳以上も56人いた。また男性の相談者が年々ふえ、一人当たりの相談時間も長くなる傾向が見られた。明らかに「認知症初期症状」と思われる人からの相談もあった。
「暮らしの形態」別では「一人世帯」263人(43.1%)、「夫婦世帯」185人(30.3%)、家族同居162人(26.6%)で独居、老夫婦世帯が7割以上を占めた。
※統計分析、グラフなど結果詳細は こちらから―

★7人に1人が孤独感。世田谷区で高齢者全員に大規模アンケート…有効回答10万3,684人(69.1%)。独り暮らし17、9%、高齢者のみ世帯34.8%、一般世帯47%と高齢者だけで暮らす世帯構成が過半数をしめた。老老介護は約4600人が行っている。日常の孤独感については13、8%の人が感じ、「見守り訪問の希望」では、今は希望しないが、約7割の高齢者が「こんご希望するだろう」と答えている。全員調査はすごい意気込み。

★「孤独死」は身近な問題、大都市ほど心配が4割超…60歳以上の高齢者の43%が「孤独」について身近な問題と感じている。大都市に住む人ほど心配の傾向がつよく47%に上った。孤独死を身近に感ずる理由は「独り暮らし」(30%)、「近所づきあいがない」(25%)、「家族・親戚とつきあいがない」(11%)と続いた。(内閣府、「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」)

★将来の日常生活に不安を感じる高齢者が7割強に増える…5年前の調査より4ポイント上がった72%の高齢者が不安と答えている。なかでも、「自分や配偶者の病気」(78%)、「寝たきりになり、介護が必要になる」(53%)、「頼れる人がいなくなり一人きりになる」(19%)など。(いずれも複数回答。内閣府、「高齢者の日常生活に関する意識調査」)

★「高齢者って何歳以上?」…の問に、「70歳以上」と答えた人が42.3%、次いで「75歳以上」(27.4%)が3割近くを占めた。同じ調査の「支えられるべき高齢者とは何歳以上と思うか?」では、「80歳以上が32.4%で最も多く、次いで「75歳以上」の24.5%。2年前と順位が逆転し「支えが必要の高齢者像」の年齢が高齢化している傾向が浮き彫りにになった(内閣府、60歳以上世代の高齢者観を調べた意識調査)。

★“男女平等度”日本は101位に下方修正…ジュネーブに本部をおく非営利団体「世界経済フォーラムが毎年発表している男女平等格差報告。対象国134ヵ国中で一時は75位まであがったが、働きざかの女性でつくる市民団体「ウォーキング・ウイメンズ・ネットワークWWW」が指摘し、国連の統計など引用して再計算したら不名誉な順位に。(どうすればいい?)

★介護保険サービス「9割の市町村は維持できない」…「今後10年間、現行のままで維持できるか?」の問いに、全国1,778市町村(東京23区含む)は、現在の財政構成では87%自治体が否定的。主な理由は保険料の住民負担は耐えられなくなる(71%)、高齢独居世帯の増加に現在のサービス量では足りなくなる(58%)など要介護者の増加とのアンバランスが不安材料(4月4日、読売新聞の特集記事より)

★全室個室タイプで10人ユニットの新型特養が人気…全国に6000か所以上、利用者は約41万人と年々増えている特養(08年現在)。厚労省が02年に新型を推進する方針を打ち出したこともあって増えているユニット型。費用は割高だが入居者や家族の満足度が高いとか。

★特養ホームのベット・シュアリング(在宅・入所の相互利用)…複数の利用者でベッドを使う。職員の手が回らないために、無理やり「おむつ」をつけられたという利用者が多いなか、「おむつ外し」や歩行機能回復に取り組み、在宅復帰を支援するホームの試み。世田谷区「きたざわ苑」などがそれ。実施施設はまだ数えるほどだが、「自立させ、家に帰す施設」はとても自然。もっともっと増えてほしい。

★病院や銀行付近にシルバー駐車区域を全国に…70歳以上の高齢者や妊婦、障害者専用に、路上の駐車禁止だった福祉施設や郵便局の近くに専用スペースを設ける。4月19日から始った。全国でまだ1,148台分。都内では月島区民センター、世田谷区役所など16か所に過ぎない。高齢者の交通事故ばかり宣伝している警視庁だが、時には気の効いたことをする、と感心。これを機にスペースを増やしてほしい。

★介護が学べるライブラリー開設…豊島区が開設した。在宅介護を学べるDVDや介護食のレシピなど、区内の図書館でも比較的蔵書が少ない介護関連の資料約8,000点を収納し、介護への理解を深め、介護をする家族のストレス軽減に役立てる。03−3981−1942/介護保険課。どなたの提案か?こうした工夫を評価したい。

■第19回 文学歴史散歩
 物流の拠点と豪商の住んだ街「深川界隈」コース


SLA東京主催の文学散歩で行った吉川英治記念館
(吉野郷)の縁側で談笑する参加者

永代橋を渡ったすぐ近くに深川の中心地「門前仲町」がある。海と川からの荷運送のためにこの地は水路と掘割が多く作られ、富岡八幡(門前仲町)周辺は材木、石材、肥料などの荷の集積地としてこの地が栄えた。現在風に言えば物流拠点であった。豪商が生まれ、花街が発達し、庶民の信仰する寺社が賑わい、江戸時代の庶民の「銀座・新宿」として活気を呈していた。今回は、江戸時代の庶民の街としてそれらの面影を残す「深川」界隈を歩き、当時の雰囲気を味わいたい。「深川めし」もお楽しみ。

◆実施日/平成22年6月27日(日)(小雨決行)
◆集合/地下鉄東西線「木場」駅 改札口、午前10時
◆コース/(総計約5km、3時間コース)
@住吉神社界隈(辰巳芸者・花街) A古石場親水公園(石置場親) B富岡八幡(勧進相撲) C深川不動尊(成田山の出開帳) D伊能忠敬住居跡 E冬木弁天堂(豪商冬木屋跡) F滝沢馬琴生誕地 G木場公園(木場跡) H干鰮場跡(肥料倉庫・出荷場) I霊巌寺(松平定信墓) J成等院(紀伊国屋文左衛門墓) K深川宿(深川めし)または伊勢喜(泥鰌汁)で昼食。
解散:地下鉄大江戸線「清澄白川」駅前。
◆昼食/深川宿(深川めし)又は、伊勢喜(泥鰌汁)
◆案内人/酒井文夫SLA
◆参加費/300円
◆主催、問合せ・申込み先/SLA東京
TEL:03−3547−3507 FAX:03−3771−8278(岡田) MAIL:shinsei-ad@tea.ocn.ne.jp

■第16回「シニア住宅見学会」は、オープン間近い「ベストライフ京王堀之内」へ
◆日時/5月16日(日) 集合場所:京王相模原線「京王堀之内駅」改札 午前10時30分。
◆見学先/ベストライフ京王堀之内(八王子市越野24−5)。アクセス:京王相模原線「京王堀ノ内」駅より約1q(徒歩約12分)
◆概要・運営/ベストライフ(入居時に自立・要支援・要介護の60歳以上を対象とした居住権利方式の施設で6月1日に開設予定の老人ホーム)
◆案内人/沢木清美SLA


<気になる言葉>

<ややこし日本語>編
今号は、川柳特集にあわせ時事問題の話をひろってみました。

どう見ても私より若い人から席を譲られた。「トッテモ複雑な気持ち…」(気にしない)
寒い春。ストーブ仕舞わなくて良かった。怠けもいいものいいものね。片づけサボって正解だったわ(今年だけ))
老人会で潮干狩りツアーの案が出た。賛否両論で大いに沸いた。最後に「でも、潮干狩りって腰曲げて採るんでしょ?」。これが決定打となり否決!(早く言え)
「ぽかぽか陽気の春先は忘れ物が多くなるって、ほんとね」「私も、いつも春だワ」(同病)
古稀の同窓会を立食形式でやることになった。「椅子は全員に付けてネ、幹事さん!」。「これじゃ立食ではない。案内に何と書こうか?」(時どき立食)
「60歳以上無料」の美術館で、「私、まだ有料なの」と、わざわざ保険証を見せて入館料を払うご婦人がいた。アンチエイジングの一種?(もうすぐ無料)
台所から押入れまで、「火災報知機を合計20個つけたからもう安心」という人に、「ダメヨ、煙、感知した時は、もう体が動かないって言うわヨ」(火をだすな)
「最近の消防車って火を消せないの?」「そうねー、全焼が多いわネー」(死者も多い)
鳩山さんのブレ発言…「明日は晴れのち曇り、時どき雨。のちキレイな虹が出るとことを国民の皆さまと共に信じているところでございます」(友愛調)
「鳩山さん、辞任だって!」と言ったら、「そうなの」と誰も驚かずに拍子抜け(エープリルフールの日)
(辻占い)「日本丸」の前途に高波、濃霧、視界ゼロ、座礁、衝突、日本丸沈没!(当たらぬも八卦)
時代に流されない風刺と笑いで日本人を見つめてきた井上ひさしさん逝く。一貫して「笑い」にこだわった。反戦反核を貫いた人でもあった(合掌)

◆「夏日」の翌日は真冬の気温。新聞やテレビにも「天候不順」の四文字が踊る。この春は「異常気象」とさえ思える気温の乱高下。野菜の高騰も暮らしに響き、予期せぬ地震、噴火の災いも大きかった◆政界も経済も乱高下、こちらも晴れ晴れとしない。もうすぐ立夏。「蚕起きて桑を食む」初候から、月末には早や「麦秋」。三社祭、松蝉、露草、青葉…爽やかな季節でありますように(岡)

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