高齢者の将来不安が消費を抑制し、消費低迷の一因であると言われていますが、はたして事実でしょうか。社会保障給付の充実、高齢者に対する福祉政策の整備、医療の進歩等によって、彼らはさほど生活不安を感じていないといったほうが妥当でしょう。すなわち、高齢者のほとんどは、健康で、経済的困難は少なく、自由を謳歌し、結構ゆとりを持った生活をしているのです。したがって、彼らを従来のような病弱者というイメージではなく、積極的に消費者として行動しようとする集団として捉えたほうが妥当なのです。この集団をマーケットとして捉えようとするならば、企業側は従来の高齢者イメージを払拭し、新しいイメージを持つための意識改革が必要となるのです。
2000年における65歳以上高齢者の消費総額は、約44兆円でした。10年後の2010年には、それが60兆円になると予測されます。すなわち、高齢者世帯における消費が、1年で1.6兆円ずつ増大するのです。この増大する消費支出を取り込む戦略を持つことは、企業にとって絶対に必要不可欠なことです。この増え続ける消費を捉える企業が、これからの時代をリードすることは間違いないでしょう。
我が国の個人金融資産は約1,400兆円といわれ、その約75%を50歳以上の世帯が所有し、60%弱の約830兆円を高齢者世帯が保有しています。もし、50歳以上世帯が、彼らが持つ個人金融資産のうち、その1%を使えば、約10兆円の消費が生まれます。そしてこの消費は、GDPを約2%も押し上げるのです。彼らが「子孫に美田を残さず」をほんの少しでも実行さえすれば、この2%押し上げという数字は決して不可能なことではないのです。
バブル絶頂期における個人金融資産は1,200兆円でした。それが、バブル崩壊後の10年で、なぜか200兆円も増えました。高齢者の多くが元気であること、しかも消費意欲が堅調であることを考えたとき、「なぜこの200兆円もの増大を許したのか」「なぜ預貯金を消費へと向かわせなかったのか」と、疑問が残ります。
高齢者世帯1世帯あたりの貯蓄残高を、高齢者世帯が平均余命の1.5倍生きた場合に必要とする貯蓄残高と比較したところ、1世帯あたり311万円もの余剰残高があることが分かりました。この311万円を平均余命の1.5倍の期間、すなわち26.67年(65際の平均余命は17.78年。17.78×1.5=26.67)で消費した場合、1年あたり11.7万円の消費が増えます。もしこれが消費に向かえば、年間約1.7兆円の消費が増大することになります。この消費の扉を開けるのはどのような業態なのだろうかと興味がわきます。余剰の311万円で出来たこの扉は、決して固く閉ざされてはいないのです。
未曾有の高齢化で増大するシニアマーケット。それに加えて、機会があれば消費しようと余裕の数字を持ったシニアたち。彼らシニアたちが、これからの消費市場をリードする集団になることは間違いないのです。
しかし、増大する可能性を持った数字でも、彼らの財布のひもを緩める商品・サービスを創り出すことができなければ、現実の数字にはならないのです。シニアたちが求める商品・サービスを的確に提供すれば、間違いなくこれらの数字は現実のものになるでしょう。このシニア層のニーズが今後どのようなものになるか、具体的にどのように消費行動を起こすかを的確に捉えた企業だけが、これからの市場に生き残ることが許されます。また、こういった企業の誕生こそ、日本経済再生の原動力になると考えられます。
「エイジングナビ総合研究所」では、(財)シニアルネサンス財団が養成し資格付与した2,000名の「シニア ライフ アドバイザー」、シニアのポータルサイト「シニアナビ」に集う3,000名のネット会員、シニア社会をリードする研究員らによって、シニア関連の商品・サービスに関する調査・研究を行います。この調査・研究は、(財)シニアルネサンス財団が設立当初より啓発してきたジェロントロジーという学問をベースに行います。そして、シニアに優しく、シニアが必要とする商品・サービスの開発に取り組み、シニア世代を対象としたマーケティングのあり方を企業に対して提案いたします。
また、企業からの市場調査や商品開発の依頼に対しはコンフィデンシャルなプロジェクトを立ち上げ対応いたします。
企業に対して次の事業を提供し、シニアマーケットの開発及びシニア社会の問題に対処いたします。
- シニア関連の商品・サービスの開発を受託します
- シニア商品開発のためのアンケート調査や研究会を受託します
- 企業がすでに開発したシニア向け商品のモニターを受託します
- 企業が抱える高齢化故の問題<後継者問題、相続、社員の高齢化対策、定年退職者に対するライフプランセミナー、リストラクチャリングのためのアウトプレイスメント>等に対し、SLAを含めた専門家によるコンサルティングを行います
- シニアマーケットに関するセミナーの講師を派遣します
当研究所は、以上の事業を通じ企業と消費者の間に位置し、双方が求めたり、発信しようとすることを橋渡ししながら、真のシニア需要を探り、新しい時代をリードする商品・サービスの発掘、誕生、育成を推進いたします。そうすることによって、これから始まるシニアマーケットの開拓に努めます。
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