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全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」
「シニアの悩み110番」集計結果のご報告
平成25年9月28日(土)・29日(日)の両日、全国7ヵ所で開設いたしました全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」は、266件の相談を受けることができました。
その結果がまとまりましたので、ご報告させていただきます。
主催:全国シニアライフアドバイザー
後援:(財)シニアルネサンス財団
実施要項
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■日 時
平成25年9月28日(土)・29日(日)10:00~17:00
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■場 所
札幌・東京・名古屋・大阪・福山・広島・福岡の計7都市(仙台不参加)
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■相談員
シニアライフアドバイザー
相談者数検証 -男性からの相談が全相談者の約30%に-
相談者数検証
今回注目すべき事項として、全相談者の約30%を男性が占めたことです。
相談活動を開始して20年になります。3年くらい前から、それまで10%に満たなかった男性からの相談が20%になり驚きましたが、30%になるとは予想していませんでした。
団塊世代が前期高齢者に突入し2年が過ぎました。彼らは従来のシニアより男女とも自立している場合が多く、定年後、妻は「ひとりで好きなことをしたい」「自分流に生きたい」と望む人が多く、夫もかつてのぬれ落ち葉では通用しない世代です。
また、企業戦士で家庭を伴侶に任せてきた男性たちは、子供達との繋がりも強くありません。
その一方、かつては妻や息子の嫁に老親の介護を任せていましたが、今は男性も介護を担う時代です。ひとり暮らしも増えました。老親の介護後、自分の介護を誰がしてくれるかという不安を持っている男性も少なくなく、今回も数件の相談がありました。
伴侶や子供達に頼れなくなり、今まで自分の悩みを他人に打ち明けることが殆どなかった男性たちも、悩み解決のために、電話相談という便利なツールを利用するようになったのが、この数字につながったのではないでしょうか。
相談件数・相談者
■相談者数 / 266人 男女別相談者数
性別 | 人数 | % |
---|---|---|
男性 | 79 | 29.7% |
女性 | 187 | 70.3% |
合計 | 266 | 100% |
年齢区分別検証
年齢区分別相談者数
順位 | 年齢 | 人数 |
---|---|---|
1位 | 70歳代 | 104(39.1%) |
2位 | 60歳代 | 82(30.8%) |
3位 | 80歳代 | 50(18.8%) |
4位 | 50歳代 | 19(7.1%) |
5位 | 49歳以下 | 8(3.0%) |
60歳代
「遺言相続」「家族親族」「健康医療」の相談がほぼ同数ありました。親の健康を案じつつ、介護終了後の自分の行く末についての不安を感じています。
70歳代
親の相続を体験し、自分の相続時の法定相続人、法定相続分がどうなるかといった相談や、親の長生きで老老介護の現実の厳しさを訴える相談がありました。
また思った以上に長寿となり、人生設計に誤算がでて、「生き方」について困惑している模様も伝わってきました。 ひとり暮らしが長くなっている場合もあり、いままで疎遠になっていた家族と繋がりたいがその術が見つからず悩んでいる相談も何件かありました。
80歳代
相続の相談が最も多かったですが、介護や住宅、健康、終末期など多岐に亘っての悩みが寄せられました。
ひとり暮らしに限界を感じ高齢者住宅に入居希望しても適切な情報が得られず困惑している人や、家族と疎遠になり、死後の片づけを頼めない切実な悩みを持っている人もいて様々な面で不安が募っています。
相談内容検証
上位5項目
順位 | 相談内容 | 相談件数 |
---|---|---|
1位 | 遺言・相続 | 65件 |
2位 | 家族・親族 | 59件 |
3位 | 健康・医療 | 25件 |
4位 | 生き方 | 22件 |
5位 | 介護・福祉 | 19件 |
1位「遺言・相続」
いよいよ遺言書を書かなくては――
すでに相続を準備している人もありますが、大半はこれからの人が多く、専門家に聞くまでもない遺言書の書き方や保存方法等、基本的な相談がいつもより沢山ありました。元来この種の相談は男性からが殆どでしたが、今回は女性からの相談が男性を上回りました。
独居の女性から特定の人に相続させたいという相談や死後の財産の行方についての問い合わせがありました。
2位「家族・親族」
家族、経済、健康の3K以上に「終活」が気がかり――
加齢が進むほど、家族や経済、健康への不安が募るのは当然でしょうが、それ以上に「終活」が心配になっています。家族だからと敢えて繋がる努力をしてこなかった結果なのか、死後を託せる人がいない高齢者が増えています。
3位「健康・医療」
心身ともに不安が募っていく――
高齢になれば色々な疾患を複合的に持つようになることが多いです。身体的な悩みだけでなく、家族や経済、更に精神的な問題までが重なり不安が強くなります。 認知症への不安も常にあります。 長期に亘る病気は、他の病も発生することが多々あり、治療費が重なり経済的負担に耐えられない人が出てきています。「お金がないので費用のかからない病院を探したい」という相談もその一例です。
4位「生き方」
もっと積極的に学びたい人に注目――
仕事一筋で来た男性は、将来の展望や生き甲斐の見つけ方がわからず自分の殻に閉じこもっている人が多く見受けられますが、一方では、相続や成年後見制度、介護保険等についてもっと勉強したいと思っている積極的な高齢者もいることにも注目したいです。
5位「介護・福祉」
先が見えない老親の介護――
60歳代からの相談が多く、親の介護がどんどん重くなっていった場合、今でも目いっぱいなので面倒を見切れるか自信がないと悲観的になっている電話は毎回あります。この場合、介護保険制度を利用すれば良いのですが、以前よりは介護保険制度の認知度が浸透し、この制度の利用の仕方などの問い合わせの電話も増えてきました。
暮らしの形態別検証
「夫婦世帯」「一人世帯」「家族同居世帯」の3形態の暮らし方で相談内容の相違を検証しました。
暮らしの形態別相談人数
世帯 | 件数 | % |
---|---|---|
一人世帯 | 120件 | 45.1% |
夫婦世帯 | 86件 | 32.3% |
家族世帯 | 60件 | 22.6% |
「一人世帯」
元気な間は気楽なひとり暮らしも良かったけれど、病気をしたり、話をする機会がなくなったりすると、一人はつらいし寂しいと話されます。
最近多くなったのは伴侶が欲しいが不謹慎かという相談です。「プロポーズをされたが迷っている」という具体的な相談もうけました。人生90年時代、高齢者が新たな人生を再出発するのは素晴らしいことです。男女ともに伴侶を得たいという願望は自然だと感じました。
「夫婦世帯」
夫婦の不仲が目立って増えています。夫は企業戦士として、妻は主婦として家を守ってきた時代が終わっても妻は変わらず家事をしているのに何もしないで惰性で生きている夫の姿にげんなりしているようで、面倒をみるのが嫌になってきたと胸のうちを率直に言う人もいました。
「家族同居世帯」
介護等、将来のことを考えて娘家族と同居をしたが、関係が上手くいかなくなり、家族のなかにいて孤独を感じていると嘆く相談者が毎回あります。同居や二世帯住宅は熟慮して実行しないとお互いに不幸になってしまいます。
社会提言
【終活】 最期まで思い通りの人生設計を
人生の締めくくりは自分で決める時代――
「終活」の内容が様変わりしています。一時代前までは、人生の締めくくりのための「終活」は、自分の葬儀やお墓の問題を生前に準備することでした。「シニアの悩み110番」でも、以前からその種の相談を受けていました。最近の「終活」にかかわる相談は、「医療や介護に関しての要望」や「身辺整理」「遺言相続」など多岐に亘っています。
今回も、次のような「終活」に関する相談が寄せられました。
介護
・終末期を迎え、子供や親類が面倒を見ようとしないことが判明し、どう対処したら良いかを模索している。
・子供の生活を大切にしてあげたいので頼りたくないが、どうしたらいいか。
相続
頼りにしていた子供が親の面倒を見ない。関係が悪化しているので特定の人に相続したい。
身辺整理
民間会社と契約をして行ないたいが内容を知りたい。その理由として、家族に迷惑をかけたくない。家族がいても頼りに出来ない。ひとり暮らしで託せる人がいない等。
お墓
・将来墓守がいない。理由として、子供が娘だけ。子供が結婚しない。結婚していても子供がいない。
・お墓が遠方なので住んでいる近くに求めたい。
人生の締めくくりは自分で決める時代
人生の締めくくりは、昔は地域で行っていましたが、そのうち家族で行うようになり、やがて核家族化が進み、夫婦の問題となり、最近は個人で準備する時代に変わりつつあります。
今でも、最期は子供や身内に委ねたいと願っている人も大勢いますが、不況続きで子供も経済的に豊かではなく、迷惑がかけられない、また親が期待するほど子供は親孝行ではない、身内も当てにできないなど、ままなりません。「おひとり様」「孤独死」という言葉が耳慣れた時代背景の下では、人生の締めくくりは自分で準備するという現実を受け止める必要があります。
「終活」をどう捉えるか…
長年家族制度社会で暮らしてきた世代には当てにする人がいない終末期は切なく悲観的に考えがちです。しかし、医療や介護さえも自分で選ぶ時代です。子供や身内を当てにせず、人生の締めくくりを積極的に自分で決めることは自分らしく生きるための選択肢の一つです。
私たちシニアライフアドバイザーは、そうした個人で終活の努力をする人たちに寄り添い、アドバイスをしています。
近年、マスコミでもエンディングノートの活用がしばしば取り上げられ、終活への関心が増しています。今後は、個人化した終活について、情報提供、お手本となるような先人の生き方など、終活を一人で頑張る人々へのヒントとなるメッセージを発信して頂ければと思います。