経済的に自立し、安心できるシニアライフを送るためには、「生活資金」の確保、自立のための「予備資金」、夫婦で楽しむ「ゆとり資金」の準備が必要となります。それを保障するためのいろいろな保険のあらましをご紹介します。

所得保障
シニアにとって、恵まれた現役時代と異なり、定年後は公的な制度を補うために老後資金が不足だと思う人には、生命保険会社、郵便局、全労済などが取り扱う個人年金保険があります。
また、財形年金制度による商品に、生命保険会社の財形年金保険や財形年金積立保険、損害保険会社の財形年金傷害保険があり、いずれも払込保険料385万円までは非課税となっています。しかし、これは現在検討されている確定拠出型年金制度への移行も考えられるので動向には注意が必要です。

医療保障
第2の人生は、健康保険の任意継続被保険者あるいは国民健康保険の退職被保険者になりますが、これを補うものに民間の医療保険、生命保険の医療特約、傷害保険、ガン保険等があります。
これらについては、70歳(寝たきりの場合は65歳)以上の老人保険制度や高齢者保険福祉サービスの制度もあり、自分の健康状態を良く把握し、真に必要な保険に加入するようにしたほうがよいでしょう。
これからの高齢社会では介護が重い問題です。 平成12年から公的介護保険がスタートしますが、民間の介護保険をあわせ準備していく必要があるでしょう。

死亡保障
遺された者の生活保障のためには、養老保険や終身保険等があります。
これについては、子供も自立した老後にとって、遺された配偶者の生活資金は遺族年金があり、葬儀費用もある程度の金融資産があれば十分であり、本当に必要なものかどうか検討の余地があります。
むしろ、相続対策としてスムーズな財産分与のために活用する方法もあります。
現金は分割しやすく、しかも死亡保険金は法定相続人一人当たり500万円までは非課税となります。

日常生活の保障
収入のないシニアにとっては多額の出費は取り返しがつきません。
その一つが「住宅」です。 災害や火災による家屋や家財の喪失は、その後の人生を狂わし兼ねません。再投資はなかなか困難です。そのためには今一度自宅の火災保険を見直してみる必要があります。
ふたつめは「交通事故」です。運転を続ける高齢者にとって、身体の衰えと共に事故の発生率は高くなります。 万一、自分が大きな事故の加害者になった場合、これも取り返しがつきません。被害者のためにも十分な自動車保険に加入することは、お互いの責任ではないでしょうか。
その他住居の管理や日常生活で偶然な事故により、第三者の身体・生命を害したり、財物に損害を与えた賠償責任をカバーする個人賠償責任保険も加入しておけば安心です。

最後に
長寿社会は、定年後に豊かな実りある人生を可能にしました。 その反面、現在進行しているビッグバンは自己責任を要求しております。 シニアにとって早めのライフプランと準備による経済的自立が必要です。新保険業法のもとで、生命保険会社と損害保険会社の相互乗り入れが可能となり、激しい競争のなかで新しい保険商品が提供されてきますが、本当に必要な保障は何かをしっかりと見極めて契約することが大切です。


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