シニアライフは、第一の人生(仕事中心の生活)を終え第二の人生(自分中心の生活)として自由かつ個性的に人生を楽しむときです。また、他人を気にせず、自分らしい生きがいを持てるような生活設計を立てることも大切です。
生活設計の一つとして、資産の運用および使用(活用)について考えてみましょう。

1. 資産の目的別配分について
自分の生活設計を実現するためには、資産を目的別に配分し計画的に運用、使用していくことが必要です。次の三つぐらいの目的に分けられます。この配分の割合は、シニアライフのあり方に大きな影響を与えますので、綿密に検討しましょう。
 (1)生き生きと充実した生活を実現するために使用する資産
 (2)病気、介護など長生きのリスクに備えるために確保しておく資産
 (3)配偶者や子供に相続させるために残しておく資産

2. 老後の不安要因について
一番不安に感じるのは、自分の寿命を予測できないことによる長生きのリスク、特に病気、介護に要する費用についてでしょう。このための備えとして資産(預貯金などのお金)を凍結してしまい、その結果お金に余裕がなくなりやりたいことも出来ない寂しい生活になってしまうケースが見られます。このように現実には、お金を残して死ぬ人の方が、お金を残さないで死ぬ人より圧倒的に多いのです。
お金を使い切るというのは難しいことですが、できれば葬式代だけ残してあとは全部使うと思うぐらいの方がよいのではないでしょうか。少し極端な言い方になりましたが、病気、介護へは適度の備えを取るとして、元気なときには精一杯の活動で、生き生きと充実したシニアライフを送ることを目指してはいかがでしょうか。そのような考えの人は資産(お金)を守り残す姿勢から、前向きに使っていく方向に転換することになるでしょう。

3. マネープランの作成について
目指す生活設計に沿って、マネープラン(年次別収支計画表)を作成します。年金収入、日々の生活費などの経常的収支額、自宅の改築、海外旅行などの臨時的支出額について、具体的数値を計上していきます。
この収支表により、資金の過不足をチェックし、不足の場合、資産(預貯金)を計画的に投入していくようにしましょう。シニアライフを充実させるため、前向きに考えることが大切です。
マネープランの作成は、毎年1回程度行い、現状と将来の収支内容を点検します。そしてなるべく収支に余裕を持たせ、より充実した生活設計を目指します。また同時に資産の現状を把握し、運用内容を点検して、殖やす努力をしていくことも必要です。

4. 資産運用について
シニアには資産運用で大きな損失を被ると取り戻すチャンスが少ないのでまず、リスクを最少にする安全な運用が第一となります。その次に資産をできるだけ殖やす運用という順序になるでしょう。
目的別に配分した資産の運用については、使途の内容・時期などから適した金融商品を選択することとなります。例えば生活充実化のための資産は、使用時期に合わせた元本保証のある金融商品が中心となるでしょう。また、相続のために残す資産は長期運用が可能ですから、リスクはあっても高いリターンが期待できる金融商品に、一定の割合を投資することが考えられます。
さらに、平成13年4月からは実施予定のペイオフにより、預金の払い戻しが一金融機関、一預金者あたり1千万円までしか保証されないということになりなす。預金者に自己責任(自分の財産は自分で守る)が求められています。これからは、経済・金融の動向に関心を持つとともに、個別金融機関の信用、金融商品の内容などを十分に見極めることも大事になります。

最後に、シニアの生活設計は自己決定できるところに特長がありますが、案外苦手な人が多いようです。ですから初めはラフな内容で計画し、実行してみることが大切です。そして走りながら修正していけば、だんだん豊かなものになるでしょう。それにともない経済的裏付けである資産運用も、確かなものになります。計画(目標)があれば、よい結果も得やすくなります。まずは着手してみませんか。


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