「高齢社会白書」平成10年度版によると、60〜64歳の労働人口は、435万人で同年齢人口の56.6%です。また、同年齢の有効求人倍率は0.07%と雇用環境は極めて厳しい状況にあります。しかし、60歳以上まで働きたいとする人が90%、そのなかで、年齢にこだわらず、元気ならいつまでも働くほうがよいという考えをもつ人が33.4%もいます。仕事に就いている理由は「生活費をまかなうため」と「生活費の不足をおぎなうため」とをあわせて47.6%です。もちろん、働くこと自体に生きがいを感じている高齢者も多いことと思います。
私は、メロウフォーラムのインターネット提言会議などで、企業経営者に対しては「高齢者は培ってきた知識だけでなく、その上に知恵があるのだから大いに雇用すべきだ」と提案してきました。そして今、私自身の会社でも高齢者の雇用を検討しているところです。今までにも高齢者に働いてもらったことがありますし、代理店・特約店にいらっしゃる高齢者とも常に連絡をし、又おつきあいをしています。
ところで、あなたが経営者だとしたら、あなたはあなたと同じ人物を雇用しますか。高齢者はよきにつけ、あしきにつけ自分というもの(我)を持っています。これは自身のこれまでの人生の結晶です。仕事をする場合、自分で事業を起こす場合は問題ありません。自分の思いを実現すればいいと思います。その結果を受けるのも自分なのですから。
しかし、他社に就労する場合はすこし事情が変わってきます。それぞれの会社にはその会社の方針、社是、社風などがあります。
「我」を持つことはけっして悪いことと言っているわけではありません。長い人生を経験してきたのに何も持たない人の方が問題と思います。むしろ、今求められているものではないでしょうか。
しかし、我を持っているということと、その我を押し通そうとすることとは別のものではないでしょうか。若者と違って、高齢者に求められるものは即戦力です。間違いを指摘された場合、言葉ではわかりましたと言いながら、何も変えようとしない事が度々ありました。経験に裏打ちされた自分というものをもちながら、それを職場で提案し、事態に対処する場合は柔軟性を持って行動することが求められているのではないでしょうか。
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