高齢化社会は年齢の高齢化のみならず、少子化・核家族化及びシングルの増加も特徴です。一方で戦前の“家”中心から現在の“夫婦単位”の民法への移行もあいまって、地域や親族の共同体によって進められてきた各家庭の諸行事が、家族のみで処理せざるを得なくなりつつあります。この時代背景で、家族の死を看取る少数の遺族のエネルギーは大変なものです。
ライフデザイン研究所の調査では、死後の手続きを託せる家族がいなくなる可能性有りと答えた人が、心配がないとの回答を上まわっています。又 自分のお葬式を遺族に任せたい人は、全体の40%弱、自分で準備しておきたいと考える人は過半数を超えています。

遺族の負担を軽くとの思いやりで考えるなか、形骸化・形式化された業者主導の葬儀への反発も生まれています。この風潮のなか、関西の皆様の実際の想いは、どうなのか。
葬儀・葬送を人生最後に受ける“商品・サービス”と捉え、マイドーム大阪で開かれた『シニアフェスティバル'98』の会場で聴いてみました。
回答者数202人(男性 96人、女性 104人、不明2人)。年齢は20歳代から80歳代まで。地域は大阪府下、その他兵庫、奈良、京都、滋賀、三重など。

延命治療は受けずに、最後は自宅で
【Q1】 病気が末期状態になった時、延命治療を受けたい…20人、受けたくない…174人。約90%の方は延命治療を受けないで、さらに最後を迎えたい。
場所は、自宅…77%、病院…17%、ホームなど施設…6% その他で、「力尽きたところ」「家族に任せる」「景色のきれいな所」等。年代が高くなるにつれ、「その時に応じて」「どこでも」と答えています。
自分が受けたい医療を受けるためには、どのような医療をして欲しいのかをはっきりと医師・家族に伝えておくことや、自宅での介護方法の工夫が必要だと思われます。
その他、病名を告げて欲しい…176人、欲しくない…26人
【Q3】 臓器提供や献体をしたい…84人(42%)、したくない…110人(56%)、その他…6人

自分の葬儀をする(約60%)方のうち、80%は家の宗教で
【Q5】 自分の葬儀はする…126人(63%)、しない…67人(34%)、その他…7人。「する」と答えた126人中、70人が男性。「しない」の67人中、女性が38人です。
また、「簡単に家族・親戚だけで密葬のみ」「ホテルでのお別れ会」など画一的な葬儀ではなく、遺族への負担も考えた自分の納得した葬儀の選び方がふえています。

お墓はあるが後継者は?
【Q6】 お墓または墓地をお持ちですか?
持っている…116人、持っていない…84人。約半数の方は「後継者の心配がない」と答えていますが、少子化の時代に本当に心配はないのでしょうか。「持っていない」と答えた方で購入予定の無い方が55%で、「散骨、合祀など」と答えています。
【Q7】 遺言を書いた…6人、書く予定…109人、書かない…83人

≪生と死を考える会≫の上智大学教授アルフォンス・デーケン会長は、「穏やかな死を迎えるには、身の回りの整理、相続等遺言の作成、自分の葬儀、墓等の手筈を整え置くことも1つの要件です。」と語られています。
いずれにせよ自分の≪有終の美プラン≫作りに当たっては、●自分が元気なうちに、●家族とよく話し合って、●内容を書面に残しておく、ことがポイントになります。
特に今までの習慣と異なる希望をする場合は要注意です。例えば「自分の葬をしないで欲しい」とあっても周囲がなかなか許してくれません。「親不孝だ」」「故人が可哀想だ」等と中傷に晒されるケースが多いようです。
遺族に迷惑をかけぬよう、元気なうちから事前の準備(一筆認めておくなど)と周囲への根回しが欠かせません。


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