病気やけがで働けなくなったり、離別や死別で収入がなくなったり、働いていても収入が少なかったりして生活費や医療費等、経済的に困ることがあります。
まして高齢になり、長い間のサラリーマン生活から、定年退職してようやく年金を受けるようになったと喜んで、これからの人生を楽しもうとする時、その年金が最近の高齢社会をめぐる社会・経済状況の変化で、不満足な額しか受け取れずに、経済的に困り、他に生活のあてがないこととかが起きるかもしれません。
定年退職後、老後の生活に入った高齢者の生活費は、年金や蓄えで賄われています。
その中心は年金です。国民年金の老齢年金は、65歳一人ぐらしの高齢者の生活扶助費を参考に設定されたもので、それだけでは生活していけません。
また、国民年金の対象者には、給付資格期間を確保しなかったり、保険料を納めていなかったりして、無年金となっている人が多くいます。このようなとき、国が最低限度の生活を保障し、自分の力で生活していけるように援助する制度が生活保護です。この「自立」の制度を利用しない手はありません。生活保護を受けるということは、権利として保障されていて、最低限の生活を保障するのは国の責任なのです。
無年金または年金収入が保険料納付済期間の関係で金額が少なくなり、生活保護基準以下の人は、生活保障の最後の拠り所である生活保護を受ける権利があります。年金を受けながら、生活保護を受けている人は多く見られます。したがって、生活保護を受けることを誰にも遠慮する必要はないし、また、受けることによって、差別されたり不利益になることはないのです。
生活保護は、その原因を問わずに、生活に困っているという経済状態で判断し、保護の用件をみたしていれば日本国民なら誰でも受けられます。このことは、貧困を個人的問題でなく社会的問題としてとらえ、権利としての生活保護ということを鮮明にしています。最低限の生活は、憲法第25条でいう「健康で文化的な生活水準を維持する」内容でなくてはならないのです。
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